
世界的な名門クラブであるスペインリーグのFCバルセロナに売れ残ったものがあるのだろうか。財政難に見舞われているバルサが最後に残ったプライドだった本拠地の名前まで売った。
バルセロナは16日、クラブホームページを通じ、「スポーツとエンターテインメント分野で戦略的な長期パートナーシップを締結した」とし、スウェーデンの音楽配信大手「Spotify(スポティファイ)」との新しい後援契約を発表した。今回の契約で選手たちはスポティファイが刻まれたユニホームを来季から4シーズン間着る。また、本拠地カンプノウの命名権もスポティファイが使うことにした。「スポティファイカムノウ」と呼ばれる条件でバルセロナは毎年最大7000万ユーロ(約950億ウォン)を受け取る。ただ、いつまでカンプノウ命名権をスポティファイが持つかは知られていない。
スタジアム命名権を売却するのはよくあることだ。1973年に米国のアメリカンフットボールチーム、バッファロー・ビルズのホームスタジアムの名称が「リッチ・スタジアム」に変わったのが最初の例だ。その後、プロ野球やプロサッカー、プロバスケットボールで多くの競技場が安定的なクラブ運営のため、本拠地の命名権を企業などに売却した。
バルサはこれまで、カンプノウが1957年にオープンして以来、一度もスポンサーの名前を付けたことがない。それほどクラブの財政が悪化していることの証拠だ。すでにバルサは財政難のため2度もプライドを売り払った。2013年、バルセロナは114年のクラブ史上初めてユニホームに商業広告をつけた。当時、バルサはカタール航空と4年間、毎年4500万ドルのスポンサー契約を結び、カタール航空のロゴ入りのユニホームを着た。バルサはクラブ創設初期からユニホームに営利法人の広告をつけなかった。サッカーを通じて社会に貢献するという理想が具現された結果だった。多くのクラブが安定的な運営のため、企業広告をユニホームにつける時もバルサだけはそうしなかった。長い伝統と自負心があった。2006年、初めてユニホームにユニセフの広告をつけた。しかし、チーム収益の0.7%をユニセフに寄付することにした公益広告だった。
昨年、クラブのシンボル的な存在だったリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)を放出したのも、バルサのサポーターにとっては衝撃だった。バルサは年間1688億ウォンの報酬を支払うメッシが手に負えなかった。バルサにはプライドも、メッシも、ホームスタジアムの名称も残っていない。成績で報わなければならないが、同日までにラ・リーガで3位を記録している。欧州チャンピオンズリーグにも出場できず、ヨーロッパリーグでも16強脱落のピンチに追い込まれた。一時、世界のサッカー界に君臨した最高の名門クラブの現住所だ。
金東昱 creating@donga.com