北朝鮮が25日、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)17」を24日に発射したと明らかにした。発射に立ち会った北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、「米帝国主義との長期的対決を徹底的に準備していく」と明らかにし、核・ミサイル暴走を本格化していくことを示唆した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は、「挑発で得られることは何もない」と警告した。バイデン米大統領は、北朝鮮がICBM発射を発表した1時間後、追加制裁で対抗した。
北朝鮮の朝鮮中央通信は24日、火星17の発射実験を報じ、「兵器システムのあらゆる数値が設計上の要求に正確に達した」と強調した。正恩氏は、発射場所の平壌(ピョンヤン)の順安(スンアン)飛行場を訪れ、直筆の発射命令書を出した。命令書には、「勇敢に発射せよ」と書かれていた。韓米に対抗した「強対強」対決の意志を表わしたのだ。
北朝鮮は、火星17が最高高度6248.5キロで、1090キロを4052秒(約68分)の間飛翔したと主張した。北朝鮮が公開した火星17は、本体の大きさだけでなく射程距離や推進力など性能が以前の火星15(ICBM)よりも向上したとされている。エンジン推進力の向上で理論的には2トン近い多弾頭を1万5千キロ以上飛ばすことができるという分析もある。平壌から米本土全域までの距離を越えたのだ。今後北朝鮮は、米本土の主要都市への同時多発的な攻撃が可能な多弾頭(MIRV)技術の実験に向けて、ICBMを正常角度(30~45度)で発射し、太平洋に落下させる実験に出るという観測も流れている。
尹氏は同日、「北朝鮮に厳重に警告する。挑発で得られることは何もない」と述べた。ただし、政権引き継ぎ委員会関係者は、「北朝鮮問題は強硬一辺倒では解決できない複合的な問題」とし、新政権発足前、北朝鮮リスク管理に慎重を期すという考えを明らかにした。
バイデン氏は、主要7ヵ国(G7)の首脳会議で日本の岸田文雄首相と会い、「北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射を強く非難する」と明らかにした。米国務省は同日、北朝鮮の弾道ミサイルを開発したとされる第2自然科学院(現国防科学院)外務局と北朝鮮人のリ・ソンチョル、北朝鮮ミサイル開発を支援したロシア企業2ヵ所およびロシア国籍者1人を制裁対象に加えた。
申晋宇 niceshin@donga.com