「宋康昊(ソン・ガンホ)!」
28日(現地時間)にフランス・カンヌのリュミエール劇場で開かれた第75回カンヌ国際映画祭の閉幕式で、審査委員の米国人監督のジェフ・ニコルズ氏が、最優秀男優賞受賞者の名前を叫んだ。宋康昊氏(55)が韓国映画史を書き換えた瞬間だった。日本映画界の巨匠、是枝裕和監督の韓国映画「ベイビー・ブローカー」で最優秀男優賞を受賞し、韓国の男性俳優が初めてカンヌ、ベルリン、ベネチアの世界3大映画祭で演技賞を受賞する記録を打ち立てた。
努めて淡々とした表情で舞台に上がった宋氏は、「メルシーボークー(本当にありがとう)」とフランス語で話した。続けて韓国語で、仲間、俳優、制作スタッフ、家族に触れ、「栄光を分かち合いたい。是枝監督に感謝する。大韓民国の映画ファンの方々にこの栄光を捧げる」と付け加えた。
それから約20分後、朴賛郁(パク・チャンウク)監督(59)が監督賞受賞者に選ばれた。6年ぶりの長編映画「別れる決心」でカンヌに帰ってきた朴氏が、賞を獲得したのだ。1946年に始まったカンヌ国際映画祭で、韓国映画が2部門の賞を席巻したのは初めて。朴氏と彼のペルソナ 宋氏が異なる作品で受賞者になり、舞台に立った。朴氏は「(新型コロナウイルスで)劇場がどれほど大切か知る契機になった」と述べ、大きな拍手を受けた。
これで韓国映画は、林権澤(イム・グォンテク)監督が2002年に「酔画仙」でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞したのを皮切りに、カンヌ国際映画祭コンペティションの7部門を占めた。英紙ガーディアンは、「韓国が記録的な賞を席巻した」と報じた。現地では、Kコンテンツの世界的人気でカンヌ国際映画祭が韓国映画の祭りになったとも評価された。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は29日、宋氏と朴氏に祝電を送った。宋氏に「映画史に長く残る優れた演技は、大韓民国の文化芸術に対する自負心を一段階高めた」と称えた。朴氏には、「韓国映画の固有の独創性と優れた競争力を再び確認させてくれた」と称賛した。
孫孝珠 hjson@donga.com