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鳥のいない世の中

Posted June. 08, 2022 08:38,   

Updated June. 08, 2022 08:38

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「三国史記」に率居(ソルゴ)という画家が出てくる。どれほど絵が上手だったのか、彼の絵は神画、すなわち神が描いた絵と呼ばれた。彼が皇龍寺(ファンリョンサ)の壁に描いた松は、うろこのような茎、曲がりくねった枝などがあまりにも写実的で、鳥たちが本物の松と勘違いして飛んできて座ろうとしたが、壁にぶつかって落ちるほどだった。

ところが、率居の天才性を証言する話は、鳥たちの立場から見れば悲しい話だ。鳥たちが壁にぶつかって落ちたという話は、そのうち一部は怪我をしたり死んだりする可能性を暗示する。率居の絵は、鳥たちにとって不運だった。それから長い歳月が流れた。今は不運という言葉では表現できないほど、多くの鳥が人間が作った構造物にぶつかって死ぬ。毎年、韓国では約800万羽の鳥が死に、米国では1億〜10億羽の鳥が死ぬ。率居の時代にはなかった窓ガラスやガラス壁、防音壁などが原因だ。

驚くべきことに、率居の絵の話に問題解決の糸口がある。カラスやトビ、ツバメ、スズメを誘惑していた松の絵は、歳月が経つにつれて色があせた。すると皇龍寺の僧侶たちが丹青で上塗りした。今なら原作に手を出すということは想像できないことだが、彼らは果敢に手を出した。すると鳥たちが壁にぶつかることがなくなった。鳥たちのことを考えたからではなかったが、重ね塗りが鳥たちを生かした。

数億羽の鳥が毎年死ぬ状況で、人間がすべきことは、もしかしたらそのような上塗りかもしれない。2022年5月に国会本会議で可決された「野生生物の保護および管理に関する法律」の改正案の内容は、一種の上塗りを強制するものだ。例えば、鳥たちの目によくつくステッカーを建物のガラスに貼り付けて鳥たちの衝突を防ぐのは、皇龍寺の僧侶たちがそうだったように、人間が作ったものに一種の塗り重ねをする行為だ。そうでもして、鳥たちを助けようということだ。鳥類学者ロジャー・ピーターソンの言葉のように、鳥たちは「生態学的なリトマス試験紙」だ。彼らを生かすことが贅沢ではない理由だ。

文学評論家・全北(チョンブク)大学碩座教授