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聖なる道

Posted June. 21, 2022 09:29,   

Updated June. 21, 2022 09:29

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フィリップ・ペタンは、第2次世界大戦でフランスが敗北すると、ナチスに協力するヴィシー政権の国家元首となった。晩年は良くなかったが、第1次世界大戦ではフランスを救った最高の戦争英雄だった。

ヴェルダンの戦いで危機に陥った時、ペタンが救援者として投入された。ペタンは第1次大戦を地獄にした盲目的な突撃戦術を嫌悪した。ペタンが見出した代案は、砲兵を利用した火力戦だった。戦闘初期にドイツ軍はドイツ軍らしく精密な砲撃計画を立てて、フランス軍陣営を焦土化した。ペタンは右往左往する砲兵を引き締め、火力を補強し、体系的な集中砲撃でドイツ軍に悪夢を与えた。

火力戦に転換すると、砲弾の調達が鍵になった。ペタンは、フランス全域からトラックや運用可能な運送手段をかき集め、3500台の車両を手に入れた。だが、道路がなかった。ヴェルダンに来る鉄道や道路は、戦闘が始まるやいなやドイツ軍の砲撃で切断された。ただ一つの道だけが残されていた。道路は幅が6.5メートルでトラック2台がかろうじて通ることができた。幅よりも深刻な問題が道路の耐久性だった。やわらかいフランスの土地の上に設置された非舗装道路は、莫大な量の輸送に耐えられるほど丈夫ではなかった。

ペタンは有能な工兵部長に徹底した道路管理計画を立てさせた。道路には、トラックと工兵がびっしりと立ち並んだ。トラックが汽車のように長い列をつくって移動する間、道にいる工兵らはシャベルで冬には砂を、雨が降れば砂利を道路に敷いた。この道路は、聖なる道(ボイスサクレ)と呼ばれたが、本来の意味はイエスが十字架につながれてゴルゴタの丘へ行く道という意味だった。言い換えれば死の道という意味だが、その死のおかげで敗北しそうだったヴェルダンの戦いで勝利できたので、聖なる道も誤った言葉ではない。

戦争において道路は生命線だ。道路を通じて誰がどれだけ早く大量に兵力と物資を輸送するかが勝敗を左右するが、彼らの功労はしばしば忘れられる。

歴史学者