西側諸国とロシアの間で長く中立を守ってきたが、ロシアのウクライナ侵攻後、西側に傾倒したスウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟が、29、30日(現地時間)にスペイン・マドリードで開かれるNATO首脳会議で公式に承認される見通しだ。両国が先月18日に加盟の意思を明らかにした後、加盟に反対していたトルコが賛成に転じた。ロシアは28日、スウェーデンとフィンランドがNATOに加盟すれば、バルト海沿岸にある「飛び地」カリーニングラードに核兵器を配備すると警告した。欧州安全保障の地形激変にともなう「新核冷戦」が現実のものになりつつある。
ロイター通信などによると、トルコのエルドアン大統領は28日、マドリードで、フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相と首脳会談を開き、両国のNATO加盟を支持する共同覚書に署名した。NATOのストルテンベルグ事務総長は、「スウェーデンとフィンランドのNATO加盟が成功すると確信する」と加盟を既成事実とした。
スウェーデンは1814年から208年間、ロシアと約1100キロの国境を接するフィンランドは1948年から74年間、軍事非同盟および中立主義を維持してきた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻を機に安全保障への不安が高まり、NATO加盟に方向を旋回した。
首脳会議で両国のNATO加盟が最終確定すれば、バルト海は「NATOの内海」となる。ロシアを除くドイツ、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニア、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンなどバルト海沿岸のすべての国家がNATO加盟国になり、ロシアを包囲することになる。米紙ワシントン・ポストは、「NATOの東進を脅威としてウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領が逆風を迎えた」と報じた。
NATO首脳会議で、スウェーデン、フィンランドのNATO加盟が確定すれば、ロシアが公言した通りカリーニングラードに核兵器を配備する可能性が高い。リトアニアは自国領土を通過するロシアのカリーニングラード行き貨物列車の運送停止を明らかにしており、核兵器搬入の道が断たれた場合、軍事衝突が起こる可能性もある。英紙フィナンシャル・タイムズは、「バルト海をはじめ軍事的緊張が高まるだろう」と伝えた。
トルコは、分離独立を主張する自国少数民族のクルド人を支援するという理由で、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟に反対した。両国はエルドアン政権の要求を受け入れ、クルド人民防衛隊(YPG)を支援しないことを決めた。クルド人テロ容疑者を迅速に追放・送還する要求も受け入れ、トルコに対する武器輸出禁止も解除した。
パリ=キム・ユンジョン特派員 カイロ=ファン・ソンホ特派員 zozo@donga.com