ルーマニアの名門学校で歴史教師として働くエミリア(カティア・パスカリウ)に危機が迫る。夫と撮影したプレイべートな性行為の動画が流出し、アダルトサイトに掲載されたのだ。エミリアはとうとう保護者会議に呼ばれる。上品に振る舞う保護者や同僚教師たちのあらゆる嫌がらせや侮辱を浴びる。彼女は動画流出の被害者であるにもかかわらず、魔女狩りに遭い窮地に追い込まれる。
28日に公開された「バッド・ラック・バンギング・オア・ルーニー・ポルノ」(写真)は昨年ベルリン国際映画祭で最高賞の「金熊賞」を受賞した作品だ。3部構成の作品で、第1部は動画流出で困惑したエミリアが街を行き来する姿を追いかける撮り方で彼女の一日を追う。第2部は物語の展開を止め、ルーマニアの悪名高い独裁者チャウシェスクや人種差別など70余りのキーワードとイメージを順に見せては関連内容を字幕で説明する。例えば、ルーマニアの詩人ミハイ・エミネスクをキーワードにエミネスクの顔入りの紙幣を見せた後、「私たちの良心」という説明を付けるやり方だ。第3部は、エミリアが保護者会議で経験する話を盛り込んだ。
第2部で紹介されたキーワードは、第3部と緊密につながる。第3部で保護者たちは良心の象徴であるエミネスクを称賛するが、被害者であるエミリアを猛非難し、子供たちのアダルトサイト接続を放置した自分たちには寛大な、「良心なき」態度で一貫している。保護者たちは、1989年に崩壊したチャウシェスク独裁政権を非難するが、彼らの行動は独裁政権の全体主義そのものだ。
ラドゥ・ジュード監督は新しい演出技法でストーリを導く一方で、母国ルーマニアで行われた独裁と全体主義、ジプシー差別、現代人の各種偽善をブラックコメディ形式で愉快に皮肉った。
孫孝珠 hjson@donga.com