韓国国内の水族館に最後に残っていた済州(チェジュ)ミナミハンドウイルカ「ピボンイ」が、海に帰る。ミナミハンドウイルカは国際的な絶滅危惧種で、済州沿岸に120頭余りが生息する。
海洋水産部(海洋部)は3日、ビボンイを自然生態系に帰すための野生適応訓練など、海洋放流の手続きを始めると発表した。ピボンイは2005年4月、済州飛揚島(ビヤンド)沖で不法捕獲された後、済州パシフィックリソム(旧パシフィックランド)でイルカショーに動員されてきた。今年1月、パシフィックリソムが廃業し、放流をめぐる議論が急激に進んだ。
海水部によると、ビボンイは飼育水槽内で生きている餌を直接狩って食べるなど、適応訓練をパスした。海水部は、ピボンイを済州パシフィックリソムから西帰浦市大静邑(ソギポシ・テジョンウブ)近くのいけすに移して野生イルカと交感させた後、早ければ今年放流する予定だ。放流後1年間、「ビボンイ」の行動特性と健康状態などを追跡調査し、野生適応可否を判断する。
海水部は、外部行事なしに「静かな放流」を行う。人との接触や騒音、光などの外部要因を遮断してこそ、野生適応の可能性を高めることができるという専門家の助言に従った。段階別訓練状況は、映像などで記録して公開する予定だ。海水部は、「放流費用はパシフィックリソム側が、放流後の追跡調査などにかかる費用は政府が負担する」と説明した。
これで、2009年頃に不法捕獲され、2013年に最高裁の判決で海に戻った「チェドリ」「チュンサムイ」「サンパルイ」を機に始まったミナミハンドウイルカの海洋放流は、約9年ぶりに終わる。当時、ビボンイはあまりにも昔に捕獲されたという理由で、検察が裁判にかけず、海に帰れなかった。
現在、国内水族館にいるクジラは、シロクジラ(ベルーガ)が5頭、オオイルカが16頭の計21頭となっている。海水部によると、これらのイルカは海外種で、正式に売買を経たか研究用なので放流対象ではない。海水部は、「今回の放流を機に、イルカなど海洋動物の福祉改善政策の策定に拍車をかける計画だ」と明らかにした。法令の改正を通じて、△水族館内の新規鯨の持ち込み禁止、△乗り上げなど、鯨にストレスを与える行為禁止、△水族館の設立許可制転換などを推進する。
イ・チュッポク記者 bless@donga.com