中国が、ペロシ米下院議長が台湾を離れた翌日4日午後12時(現地時間)、台湾の海上と領空を事実上封じ込める実弾軍事訓練に突入した。中国軍は同日、「(台湾を管轄する)東部戦区の陸軍部隊が台湾海峡の東部に長距離実弾射撃訓練を実施し、特定区域を正確に攻撃した」と明らかにした。中国軍が発射したロケット砲が中国と台湾の実質的境界線の「台湾海峡中間線」を越えて台湾側の海域に落ちたということだ。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」には、海岸から発射されるロケット砲を市民が撮影した多くの動画が投稿された。
中国が実弾訓練を行った台湾周辺の海域6ヵ所は全て台湾海峡の中間線を越えた。中国軍は、長距離ロケット砲と通常型ミサイル発射も予告した。訓練を大義名分に軍事境界線の向こう側にミサイルを発射したのだ。
特に3ヵ所の訓練地域は、台湾の領海を侵犯した。台湾南西側海域の訓練地域は、台湾第2の都市、高雄近郊の小琉球からわずか9.5キロしか離れていない。ミサイルを肉眼で見ることができる距離だ。台湾の首都台北の北東の訓練地域も、海岸から18.5キロしか離れていなかった。中国の人民日報系の英字紙グローバル・タイムズは4日、「中国軍が台湾領海に進入したことで、いわゆる『台湾海峡中間線』は消え去った」と報じた。
中国は、現存するミサイル防衛システムで阻止できないとされる極超音速ミサイル「東風(DF)17」も訓練に動員した。台湾はF5戦闘機を発進させて対応した。
バイデン米大統領は、中国軍の訓練開始直前の3日(現地時間)、国家安全保障チームの電話会議を行った。ペロシ氏の台湾訪問と関連してバイデン氏が直接会議を主宰したことが公開されたのは初めて。ホワイトハウスは中国の軍事訓練を受け、「注意深く監視し(状況を)管理する」と明らかにした。
金祺容 kky@donga.com