「私は日が昇ると起きて朝食を作り、一日中歩き、とても単純で肉体的な方法で疲れるのが好きだ。他の何よりも、これは人生を生きていくとても良い方法だ。とにかく私はこのやり方を芸術にする方法を見つけた」(リチャード・ロング「芸術家たちはこう言った」)
日常は芸術になれるだろうか。「歩く」ことさえも芸術化した人がいる。コンセプチュアル・アート(概念芸術)から派生した「大地芸術(land Art)」または「システムアート(System Art)」という芸術方法を代表する英国の視覚芸術家リチャード・ロングだ。
ロングは、1967年のある日、ロンドンのウォータールー駅で汽車に乗って見知らぬ郊外に降りた。そして、あてもなく野原に入って行ったり来たりしながら歩き続けた。そのように時間は流れ、野原には一筋の道が作られた。その道を写真で記録した。ロングの初作品である「歩くことで作った道(Line made by walking)」だ。
ロングは、自然環境を傷つける人為的な芸術形態に反対する。その代わり、単純な思索としてのウォーキングを通じて自然を芸術化する。最初から道があったわけではない。また、人がその道を歩かなければ、その道は消える。しばらく芸術化した道は、いつかは消滅するので記録しなければならない。その記録がまさにロングの視覚芸術だ。
このように、日常に意味を付与すれば人生自体が芸術化される。芸術的な人生が、哲学的な人生が始まる。すべての創意的で革新的なアイデアも、日常から始まる。私たちが時には退屈だと感じる出勤して働き、一杯のコーヒーを飲み、歩き、走る極めて平凡な日常さえも美しくなる。人生の深さはさらに深まり、息遣いごとに美しくなる。あなたの人生をイメージや映像で記録すれば視覚芸術になり、文で記録すれば文学になる。