「例年より2~3倍は暑い。今年は水まで不足し、本当に暑いです」
9日(現地時間)、フランス・パリのルーブル博物館の前で会ったディディエ・ルビトさんは、干からびた博物館前の噴水台を眺めて話した。猛暑と干ばつが深刻な南部トゥールーズに暮らす彼は、「水不足で農作物に影響が出ている。干ばつに強い別の品種を育てることに慣れなければならないようだ」と話した。
記者が、パリ都心のコンコルド広場のアスファルトの表面温度を測ってみると、摂氏40度を軽く超えた。アスファルトの熱気で、日差しが肌を刺すようだった。パレ・ロワイヤルからルーブル博物館に向かう徒歩10分の道にある大型の噴水3ヵ所のうち2ヵ所は完全に干からびていた。当局は干ばつ警報「レベル1」を発令し、5日から噴水の水を止めた。パリ市は洗車など水の使用を最大限控えるよう節水を呼びかけた。
●世界の7月の気温「史上最高水準」
韓国が豪雨に見舞われている中、フランス、英国、イタリアなど欧州全域は記録的な猛暑と干ばつで苦しんでいる。世界気象機関(WMO)は9日、「今年7月は、世界の7月の気温が最も高かった3回のうちの一つと記録された」と明らかにした。他の2回は2016年と19年で、猛暑の程度にほとんど違いはない。世界各地の気象異変で混乱に陥り、自然災害にともなう経済的損失が増え、農作物への影響で食糧難が深刻化することが懸念されている。
英気象庁は9日、イングランド南部、ウェールズ東部地域に11日から4日間、黄色の「極端な暑さ」の警報を下した。黄色の警報は、脆弱な人々の健康に影響を与える可能性がある水準だ。雨がよく降り、レインコートで有名なイングランド地方では、今年7月が1935年以来最も乾燥した7月と記録された。英国内で最大級の水道事業会社であるテムズウォーター社は、水の使用の臨時規制を検討している。
イタリアでは、昨年12月から雨があまり降らず、北部地域が深刻な干ばつを経験している。今夏に入って主要河川のポー川が所々干からびている。9日、英紙インディペンデントによると、アルプスの氷河が猛暑で早く溶けて流され、半世紀以上埋もれていた遺骨2体や飛行機の残骸などが発見された。
●日本、豪雨・猛暑「一国で二つの天気」
日本では猛暑と豪雨に同時に見舞われ、「一国で二つの天気」現象が起こっている。9日、NHKによると、日本気象庁は同日まで35度以上の猛暑が14日間続いたと明らかにした。1995年と2010年、35度以上の猛暑が13日間続いた記録を越えた。一方、青森県や秋田県など東北の一部地域の半日の降雨量が、平年8月の1ヵ月分の降雨量に達した。
米カリフォルニア州のデスバレーでは5日、年間降水量の75%が降った。同日の気温は摂氏56.7度で歴代最も高かった。イリノイ州では1、2日、8月1ヵ月の降水量に達した。オーストラリアは2~4月、ブリスベンを中心に首都圏で3日間、676.8ミリの雨が降った。1974年以降48年ぶりに最悪の洪水が発生した。
●世界上半期の自然災害の損失85兆ウォン
世界的に気候災害による経済的損失が増えている。世界最大の再保険会社であるドイツ・ミュンヘン再保険(Munich Re)によると、今年上半期(1~6月)、世界が自然災害で負った損失は650億ドル(約85兆1800億ウォン)にのぼった。自然災害による死者は約4300人で、昨年同期の1.9倍だった。ミュンヘン再保険のトルステン・イェボレク理事は、「上半期の自然災害は多くが気候関連災害だ」と話した。国連傘下「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、猛暑や豪雨、干ばつなど気候災害が頻繁になり、強度も増している警告した。
欧州連合(EU)は、異常高温で今年の穀物収穫量が昨年より5%減少すると見通した。フランスのとうもろこしの収穫量は昨年比19%減少し、126万6千トンと推定されている。
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パリ=チョ・ウンア特派員 イ・ジユン記者 achim@donga.com · asap@donga.com