トランプ前米大統領が10日、退任後初めて受ける検察の調査で黙秘権を行使し、証言を拒否した。一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」の粉飾会計および脱税の疑いをめぐって5時間半調査を受け、440回以上証言を拒否したという。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、トランプ氏は同日、ニューヨーク(NY)州の検察の調査に出席する前、声明を出し、「米国憲法がすべての市民に付与した権利に基づき証言を拒否する」と明らかにした。トランプ氏は、大統領在任中、より多くの銀行融資を受けるためにトランプグループの資産価値を膨らませ、納税の時は縮小して申告した疑いで捜査を受けてきた。
トランプ氏は、検察の調査で、NY州のジェームズ司法長官に名前を尋ねられて「ドナルド・トランプ」と応じたものの、「米史上最大の魔女狩り」と述べ、その後の質問には黙秘した。
トランプ・オーガニゼーションの粉食会計および脱税疑惑をめぐって、NY州検察は民事事件として調査しており、マンハッタン連邦地検は、刑事起訴を目指して捜査している。トランプ氏が黙秘権を行使したのは、虚偽の証言をする場合、今後の刑事訴訟で偽証容疑が増え、不利になる可能性があると判断したためとみられる。
先週、検察調査を受けた長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏と長女のイバンカ氏は、黙秘権を行使しなかったという。
トランプ氏は過去、ヒラリー・クリントン元国務長官が2016年に個人の電子メールで機密情報をやりとりした「メールスキャンダル」と関連して、「潔白ならなぜ黙秘権を行使するのか」と批判したことがある。トランプ氏は、自身の黙秘権行使については、「政治的な理由で魔女狩りの標的になった時、選択の余地はない」と話した。
トランプ氏は、機密文書持ち出しの疑いに対する米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索に対しても、「証拠を捏造されていなければいいのだが」とし、陰謀説を提起した。トランプ氏はソーシャルメディアで、「FBIは(家宅捜査の時)何をするのか誰にも見られないよう全員出て行くように言った」とし、このように主張した。
ワシントン=ムン・ビョンギ特派員 weappon@donga.com