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ジョーダン・ピールらしいユニークな恐怖、SF映画「NOPE/ノープ」

ジョーダン・ピールらしいユニークな恐怖、SF映画「NOPE/ノープ」

Posted August. 15, 2022 09:07,   

Updated August. 15, 2022 09:07

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ジョーダン・ピールは、ジョーダン・ピールらしかった。17日に公開される空想科学(SF)ホラー映画「NOPE/ノープ」は、彼の特技を生かした作品だ。

ピール監督は、「ゲット・アウト」(2017年)で一躍米ハリウッドで最も「ホット」な監督の一人として注目された人。2019年の「アス」は評壇と観客の好き嫌いが交錯したが、独特なミジャンセンの中に多様な社会的メッセージを盛り込むスタイルは、彼のトレードマークとして位置づけられた。特に韓国国内では、「チョ・ドンピル」という愛称で呼ばれるほど人気が高い。

「NOPE/ノープ」は、兄妹が馬を飼育する農場に謎の生命体が出没するというSFホラー的設定が柱となっている。彼らは、怪物を撮影して金と名誉を得たい欲望を持っている。ここに動物ショーで金儲けする遊園地の運営者リッキー・ジュープ・パーク(スティーヴン・ユァン)が絡む。スティーブン・ユアンも嬉しいが、兄妹として出演したダニエル・カルーヤとキキ・パーマーは、「ゲット・アウト」に続き、2度目に監督と呼吸を合わせた。

血が一滴も飛び散らなくても鳥肌が立つようなビジュアルは、ピール監督のホラーの最大の魅力だ。「NOPE/ノープ」も、やはり花に似た美しい怪物が残酷に人々を害する。ただ、前作で見せてくれた緊張した恐怖はやや水位が低くなった。謎の生命体の実体が多少早く明らかになり、どんなことが起こるか分からないことによる緊張感が減った。

映画の開始を知らせる旧約聖書ナホム書3章「わたしは汚らわしい物を、あなたの上に投げかけて、あなたをはずかしめ、あなたを見ものとする」は意味深長だ。「見ものに対する人間の中毒を扱った映画」という監督の説明どおり、ソーシャルメディアを通じて絶えず自分を表わしたがる現代人の欲求が反映された。馬が照明に映った自分の目を見て発作を起こすシーンは、なぜか隠喩がいっぱいでぞっとする。ホラー映画らしくなく12歳観覧可。


金哉希 jetti@donga.com