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水原の母娘3人の悲劇、隣人に目を向けなければ

水原の母娘3人の悲劇、隣人に目を向けなければ

Posted August. 24, 2022 09:18,   

Updated August. 24, 2022 09:18

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21日、京畿道水原(キョンギド・スウォン)の多世帯住宅で死亡した状態で発見された3人の母娘。60代の母親は癌闘病中で、40代の2人の娘も難病を患っていた。極度の生活苦にあったが、誰にも頼ることができなかった。借金のために引越しをして転入届けをせず、福祉の死角地帯に放置され、生活保護のような福祉サービスも申請できなかったとみられる。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は23日、「福祉情報システムが正しく作動していない人々のために、特段の措置が必要だ」と話した。政府と政界も極限状況にある人々を追跡するシステムと人材の拡充、マニュアルの改正など多角的な対策を整えた。しかし、このような対策で、さらなる悲劇を防ぐことができるだろうか。

水原の母娘3人の悲劇は、福祉の死角地帯で生活苦にあって自ら命を絶った8年前の松坡(ソンパ)母娘3人事件を思い出させる。生活保護の対象からも排除された松坡母娘3人の胸の痛む話が伝えられた後、福祉死角地帯を発見するための公的福祉ネットワーク制度が稼働した。しかし、登録住所地と実居住地が異なる水原の母娘3人には事実上、無用の長物だった。

制度とシステムの改善は必要だ。危機にある人々が政府や地方自治団体の助けを受けるよう誘導したり、そのような人々を先に見つけて助けの手を差し伸べたりすることは、現代福祉国家の基本的な責務だ。しかし、それは政府や自治体だけの責任ではない。国家と社会の責任であり、隣人の潜在的な悲劇に無関心な私たち一人一人もその責任から自由ではない。

ギリギリの生活に追い込まれた人々は、助けを受けることができるのか、どこに要請すればいいのかわからないのが現実だ。一昨日、光州(クァンジュ)で、夏休みを寮で一人で過ごしていた児童養護施設出身の大学生が死亡した状態で発見された。彼が残したメモには、「どう生きていけばいいのかわからない」と書かれていた。最近、ソウル新林洞(シンリムドン)で豪雨による半地下の浸水で死亡した三家族の惨事は、同じ自然災害でも貧しい人にはあまりにも過酷で不公平な現実であることを知らしめた。

韓国社会では、情のある隣人コミュニティは事実上消えている。新型コロナパンデミックで個人的な接触すら難しくなったのが昨今の現実だ。しかし、三人の娘の悲劇は、ニュースや映画で見ていることではなく、まさに今、私たちの近くで起きている現実だ。秋夕(チュソク、陰暦8月15日)が15日後に近づいた。各自が周囲に目を向ける最低限の社会的責務を発揮する時だ。