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急に時間が止まった…あ、恋に落ちたね

Posted August. 25, 2022 08:55,   

Updated August. 25, 2022 08:55

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医学部生のユリヤ(レナーテ・レインスベ)は医学に嫌気が指して、心理学に専攻を変える。新しい世界が開かれたように喜んでいたのもつかの間、また飽きる。「私が好きなものが何なのか、今になって気づいた」として、今度は写真作家になると言い出す。

衝動的で気まぐれな性格は恋愛でも同じだ。パーティーで15歳年上の有名漫画家アクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)に出会い、恋に落ちたが、世代の違いと性格の違いでトラブルを経験する。成功した恋人は、何一つ成し遂げたことのない自分をみすぼらしくさせる。ユリヤはすぐアクセルとは正反対の魅力を持つ同年代の平凡な男性アイヴィン(ヘルベルト・ノルドルム)と恋に落ちる。

25日に公開されたノルウェー映画「わたしは最悪」というタイトルだけを見ると、どこか典型的なロマンス物のようだが、ロマンスそのものには集中しない作品だ。ロマンスは、ユリヤが自我を探して成長していく姿を描くのに活用される一種の装置だ。観覧のポイントは、「私の人生なのに、脇役の気分だ」と語り、恋愛と仕事でどちらも見当がつかず彷徨うユリヤが、人生の主役になれるか見守ることだ。この映画で、昨年カンヌ映画祭で主演女優賞を受賞したレインスベは、恋人に対する愛情が微妙に変わっていく姿を繊細に表現する。売れっ子の恋人から剥奪感を感じる姿を、台詞なしに表情だけで表したシーンは、彼女がなぜ賞をもらったのか納得させる。明快に定義付けられない複雑な感情を表現する立体的な演技が目立つ。

ユリヤがアイヴィンに会うためにノルウェーの首都オスロ通りを横切るシーンは、2人以外のすべての人を止める演出が盛り込まれた。恋に落ちた彼らの心をファンタジーのように描いた名場面だ。


孫孝珠 hjson@donga.com