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切実な願い

Posted August. 26, 2022 08:55,   

Updated August. 26, 2022 08:55

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夜明けの静寂を破って道に出た詩人。馬にゆだね、うとうとする。数里行っても鶏の声も聞こえない、人気のない山道で、夢のように彷徨ったのかもしれない。散る落葉に驚いて目を覚ました詩人の目に入って来たのは、遠くを飛んでいる一羽の鶴と遠くの山にかかった有明の月。霜が降りた荒涼とした夜明けの道がどれほど辛かっただろうか。侍童が不平を言ったようだ。眠りを起こされ夜明けに連れ出されたことも不満だが、行けど行けど人一人いない寂寞とした外出は気乗りがしなかったことだろう。しかし、自分を孤独な鶴になぞらえるほど孤独だった詩人が、なぜ突拍子もなく「時平らかなれば 路も復た平らかなり(時平路復平)」と言ったのだろうか。詩人のこの慰めにならない慰めが、侍童には不可解だっただろう。自分を励ますために冗談を言ったのだろうか。それとも「時平らかなれば 路も復た平らかであってほしい」という期待を言ったのだろうか。

詩は、詩人が病弱な弟に会うために休みを取って長安から江南に行く途中に詠ったものだ。長い看病にもかかわらず、目の病で失明した弟に対する憐憫の情。足取りは軽いはずはなく、周囲はうら寂しいが、人生の坦坦たる大路を迎えてほしいという兄の切実な願いを詠ったのではないだろうか。