ロシアのウクライナ侵攻で欧州全体がエネルギー大乱を経験している中、フランス政府が今冬にエネルギーの使用量制限を施行する可能性を示唆した。消費電力の約7割を原子力発電で充当し、ドイツなどに比べてロシア産天然ガスの依存度が低いフランスまで使用量制限を検討するほど欧州のエネルギー事情が深刻であることを物語る。
AFP通信などによると、フランスのボルヌ首相(写真)は29日、パリで開かれた「フランス企業運動」(MEDEF)の年次総会に参加した経営者たちに、「私たちが共に努力すれば、エネルギー不足の危機を克服することができるが、最悪の場合、エネルギー節約を強制するほかない」とし、使用量制限を実施する可能性を明らかにした。同日現在、フランスの電力卸売価格は1メガワット時(MWh)1200ユーロで、過去最高値を記録した。
ボルン氏は、「すべての企業は9月までに省エネ計画を立てなければならない」とし、今後数ヵ月間、全産業界が化石燃料エネルギーへの依存度を減らすなど、大々的な変身を図ることを求めた。政府が使用量制限を強制的に実施する前に自発的に省エネに乗り出すということだ。ただし、突然の使用量制限の施行で打撃を受ける企業を考慮し、供給されたエネルギーを売買できる「エネルギークォーター取引制」などの対策を設けていると説明した。
欧州連合(EU)は、ロシア発エネルギー危機に対する共同対応に乗り出した。EU議長国であるチェコのシケラ産業・貿易相は29日、ツイッターに「来月9日、ベルギー・ブリュッセルでEUエネルギー委員会特別会議を開催する」とし、正常に作動していないエネルギー市場にメスを入れ、ガス料金の上限制、電力市場改革などを議論する考えを明らかにした。シケラ氏は、「ロシアのプーチン大統領が欧州の電気料金を揺るがすことを阻止しなければならない」と強調した。
特に、ベルギーのティネ・バン・デ・ストラーテン・エネルギー相は、「ガス料金を現水準で凍結しなければ、EU諸国は恐ろしい冬を経験しなければならないだろう」とし、EU挙げての連帯を強調した。
金民 kimmin@donga.com