秋夕(チュソク、旧暦8月15日)の連休を前にして、北上している台風11号「ヒンナムノー」が、当初の予想とは違って6日に釜山(プサン)・慶尚南道(キョンサンナムド)海岸に上陸する見通しだと、気象庁が2日に予報した。台風の経路が西にずれる場合、内陸を通過する可能性もある。京畿道(キョンギド)南部を含む首都圏も台風11号の強い影響圏に入ることになり、台風の威力が頂点に達する5~6日には全国で強風を伴った大雨が予想される。
台風11号は、歴代最悪の台風とされる2003年の台風14号(マエミー)と時期だけでなく強度と経路まで似ており、懸念が強まっている。超強力台風だった台風14号は、秋夕を控えた9月、台湾南東部の海岸を通過して雨風を伴って上陸し、2日間で慶尚道(キョンサンド)地域が焦土と化した。119人が死亡し、12人が行方不明になり、4兆2222億ウォンの財産被害が発生した。被災者は6万人を超えた。
台湾南東の海上で勢力を強めながら接近する台風11号は、国内に上陸する際には最大風速が秒速50メートルを超え、台風14号より強まる可能性があると気象庁は予測する。コンクリートの建物が壊れ、人が飛ばされるほどの威力だ。特に、気候変動で台風が通過する台湾~南海海域の水温が30度と高い状態なので、熱い水蒸気を吸い込んだ台風11号が歴代級の「水爆弾」をもたらす可能性が高い。気象庁は5~6日、南部地方の1時間当たりの降水量が50~100ミリ、総降水量は500ミリを超えると見通した。
先日の記録的な大雨で、排水施設が整っているソウルでも各地で浸水被害が発生した。台風11号が通過する南部地方は、災害の脆弱地域が多い。同地域は、2020年8~9月に3つの台風が相次いで来た時も、屋根が飛ばされ、道路が浸水するなど被害が続出した。常襲の浸水地域と崩壊の危険がある地域をしっかりと調べなければならない。事実上、全国が台風11号の影響圏に入ったため、政府は排水口やマンホールなど大雨の被害が予想される施設を点検し、土砂崩れや石垣の崩壊、河川の氾濫などの災害発生に備えて、迅速な避難と緊急救護計画を立てておく必要がある。
南部地方は今年最悪の日照りで農作物の作況が良くなく、秋夕物価を刺激している。台風11号まで襲い、収穫を控えた農家の被害がさらに大きくならないよう、農作物や農業施設に対する安全措置を急がなければならない。気候変動で自然災害の被害が大型化しているが、災害対策システムを高度化して実行すれば、被害規模は大幅に減らすことができるだろう。