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留守番の若い夫婦が独居老人の家に泊まるのだが…、映画「ホームレス」

留守番の若い夫婦が独居老人の家に泊まるのだが…、映画「ホームレス」

Posted September. 19, 2022 08:54,   

Updated September. 19, 2022 08:54

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若者の貧困と独居老人の問題という、少しは異質な2つの問題を同時に取り扱いながらも、その深刻さを効果的に見せるためにはどうすればいいのか。これに創意的な答案を示すかのように披露された映画がある。15日に公開された「ホームレス」だ。

映画は若い夫婦が1歳を過ぎたばかりの息子とチムジルバン(スーパー銭湯)を転々としながら暮らす姿から始まる。夫婦は家の賃貸保証金詐欺に遭い、お金を全て失い、行くところがなくなった。ハンギョル(チョン・ボンソク扮)は配達の仕事を、コウン(パク・ジョンヨン扮)はチラシ配布のバイトをしながらもがいているが、けがをした息子の病院費さえ賄えない。崖っぷちに追い込まれた時、ハンギョルが臨時住居を設ける。普段よく寿司を配達しながら蛍光灯を替えるなど助けてくれた一人暮らしの老人の家。老人が米国にいる息子のところに行っている間、家に泊ってもいいと言われたという。ところがハンギョルは何か焦っているように見える。

映画はイム・スンヒョン監督(35)の長編デビュー作。昨年、第50回ロッテルダム国際映画祭に韓国劇映画の中で唯一招待されて好評を得た。映画祭側は当時、「『ホームレス』は全世界で起きている社会問題を吸入力のある形で取り扱った」と絶賛した。

イム氏は最近、電話インタビューで「MZ世代のもう一つの名前は『ホームレス世代』だ。政府や親の完璧な支援なしには、ソウルで住宅を買うことはもはや不可能になったのではないか。その現実を見せたかった」と話した。

映画の魅力は、若者の貧困問題と独居老人の問題を顕微鏡で見るように見せることに止まらないということだ。イム氏は恐怖とスリラーのジャンル的文法を生かして緊張感を少しエスカレートさせながら物語を展開していく。その手法は非常に新鮮で破格的だ。イム氏は、「どうすれば二つの問題を最も強烈に見せることができるか悩んだ末に選んだのが恐怖・スリラージャンルだった」と語った。

映画の中で主人公の若い夫婦と独居老人の詳しい事情は出てこない。イム氏は、「主人公たちがどこにでもいる普通の若者と独居老人に見えることを願った」と言い、「あまりにも詳しい事情が描かれば極めて特殊で個人的な話に映ってしまい、議論が広がらないだろうと思った」と話した。「戦略的省略」だったという説明だ。


孫孝珠 hjson@donga.com