中国の不動産発経済危機が全方向に拡散する兆しを見せ、世界が緊張している。米銀大手シティグループは19日、「中国の民間開発企業(POE)だけでなく国営企業(SOE)も破産危機に直面した」と明らかにした。これらに資金を融資した中国銀行のリスクも大きくなっている。不動産産業は、中国の国内総生産(GDP)の25%を占める。不動産リスクが中国経済全体の低迷につながる場合、中国に対する輸出依存度が全体輸出の3~4割の南米諸国や米国も打撃を受けるという観測が流れている。米バンク・オブ・アメリカ(BOA)は、「米国が(中国発)供給網(サプライチェーン)危機に直面する可能性がある」と警告した。
●不動産関連不良債権の規模は3075兆ウォン
シティグループは今年上半期(1~6月)の中国不動産融資規模を7兆6千億ドル(約1景566兆ウォン)と推算し、このうち29.1%が不良債権と分析されたと明らかにした。不良債権の規模だけで約3075兆ウォンとなる。
中国は2000年代以降経済が成長し、住宅価格の上昇と共に不動産市場も急成長した。建設会社は先を争って銀行の融資を受けて建物を建設した。住宅価格の暴騰が二極化と社会不安につながると、習近平国家主席は約5年前から「共同富裕(共に暮らす社会)」を打ち出し、融資を引き締め、不動産市場を圧迫した。ここに新型コロナウイルスの感染拡大が直撃し、事業を拡大していた建設会社は資金難に陥った。その影響で工事中止に追い込まれたアパートや未分譲住宅が溢れた。
20日、米ブルームバーグ通信によると、中国の119の都市でアパートを購入した人々が「銀行の住宅ローンを返済しない」と住宅ローン返済拒否運動を起こしている。銀行から借り入れて家を購入したが、家ができるまでは銀行にローンを返済しないということだ。
中国の銀行は、建設会社と住宅購入者の両方から返済を受けることができない状況に置かれた。シティグループは、「中国銀行の不良債権は52兆ドル(約7景2280兆ウォン)規模に増えている」と指摘した。
実際の不良債権の割合は報告されたものより大きいという分析もある。米民間格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)グローバル・レーティングは、「中国銀行が3500億ドル(約487兆ウォン)規模の損失を被る可能性がある」と警告した。英紙ガーディアンは、「中国が史上最悪の『不動産バブル崩壊』戦争で後戻りできない地点に到達した。共産党指導部、世界経済すべてに危険な瞬間」と伝えた。
●香港の人材も離脱、「米・南米まで影響か」
経済および金融人材の離脱も加速している。香港当局は最近、海外勤務中の人員を呼び入れるために金融会社と議論を始めた。新型コロナウイルスで在宅勤務、海外勤務が拡大した時に海外に出た人材だ。しかし、多くの銀行員、ファンドマネージャーは「帰らない」と言っているという。極端な防疫政策、民主化弾圧に対する反感も作用したようだ。ブルームバーグは、「過去3年間、香港経済は焦土と化した」と伝えた。
米経済メディア「ビジネスインサイダー」は19日、「中国の成長の鈍化が全世界に波紋を投げかけている」と報じた。特に総輸出の4割を中国に依存するチリをはじめ南米諸国が、中国経済危機の影響に直面する可能性があると伝えた。ブラジルとペルーも輸出の約3割を中国に依存している。BOAは、「中国の危機で、米国が短期的にはドル強勢とインフレ緩和という利益を得る可能性がある。ただし、長期的に中国商品の輸入に問題が生じれば、供給網の危機に直面するだろう」と見通した。
米投資銀行のゴールドマンサックスは、「来月16日に開幕する中国最大の政治行事である第20回共産党大会も、中国経済を好転させることはできないだろう」と見通した。過去には大型政治イベントが景気刺激の効果をもたらしたが、今回は難しいという分析だ。
李恩澤 nabi@donga.com