「60本塁打です!ベーブ・ルース、あなたに同僚ができました」
アーロン・ジャッジ(30=ニューヨーク・ヤンキース)がバットを振ると、中継陣がこう叫んだ。ジャッジは21日、ニューヨークの本拠ヤンキースタジアムで行われたピッツバーグ・パイレーツ戦で、4-8でリードされていた9回裏に先頭打者として打席に立ち、パイレーツ救援ウィル・クロウ(28)の時速153キロのシンカーを捉えてシーズン60号本塁打を放った。瞬間、4万157人の観客は一斉に歓声を上げた。この本塁打でジャッジは、95年前の1927年にメジャー史上初のシーズン60号本塁打を放ったベーブ・ルース(1895~1948)と肩を並べた。
大リーグで1シーズンに60本塁打以上を記録した打者が登場したのは21年ぶり。「ステロイド全盛時代」と呼ばれた2001年にバリー・ボンズ(58=サンフランシスコ・ジャイアンツ)とサミー・ソーサ(54=シカゴ・カブス)以来、シーズン60本以上の本塁打を放った打者はいなかった。ジャッジは打者数では6人目、延べ回数では9度目のシーズン60本塁打を記録した。
試合後、ジャッジは「ルースやロジャー・マリス(1934~1985)などヤンキースのすべての偉大な選手について語る時、自分みたいな子供(kid)が彼らと一緒に言及されるとは想像もできなかった。(60本塁打達成は)信じられない光栄であり、この記録を決して軽く考えていない」と話した。
ジャッジが残りシーズンに、本塁打順位をどれだけ引き上げるかにも注目が集まる。現在、同部門首位は21年前にボンズが記録した73本塁打だ。ジャッジは60本目の本塁打でルースとともに同部門8位に上がった。
試合当たり0.4本以上を放つ現在のペースなら、残りの15試合で6本を追加することができる。66本塁打を達成すれば、1998年ソーサ(1998年)と並ぶ歴代3位タイになる。本塁打一本だけ加えても61年間続いたアメリカンリーグ・シーズン最多本塁打と肩を並べる。1961年のマリス以後、ア・リーグでは61本塁打を放った打者がいなかった。
現役でプレーしている他の打者と比べると、ジャッジのペースがどれほど速いかが分かる。両リーグを通じて本塁打ランキング2位はカイル・シュワバー(29=フィラデルフィア・フィリーズ)で、ジャッジより20本少ない40本塁打を記録している。大リーグ公式サイトのMLB.comは、「1928年に54本塁打を放ったルースが、シーズン最終日に2位タイグループ(31本塁打)に23本差の1位になって以来、ホームランダービーの首位が2位より20本塁打以上リードしたケースはなかった」と伝えた。
一方、ヤンキースは同日、ジャッジの本塁打で反撃の機会までつかんだ。安打2本と四球1つ作った無死満塁のチャンスに、ジャンカルロ・スタントン(33)が左越えにサヨナラ弾を放ち、9-8の逆転勝ちを飾った。ヤンキースのアーロン・ブーン監督は、「4点差でリードされていた9回裏、チーム打線を刺激させる何かがあった。ジャッジの本塁打で魔法のような火花が散った」とジャッジを褒め称えた。
カン・ドンウン記者 leper@donga.com