「イ・ミンジン作家(54)の『パチンコ』と比べられるなんて、私としては大変光栄です。ただ、『パチンコ』が家族のための生存小説なら、『小さな地の獣たち』は国のための闘争小説と言えます」。
韓国系米国人作家、キム・ジュヘさん(35・写真)の長編小説『小さな地の獣たち』(タサンブックス・写真)が28日、国内で出版された。出版に合わせて同日開かれた画像懇談会で、キムさんは、作家のイ・ミンジン氏と比べられたことに感謝しながらも、自身の作品に対する愛情を表現した。
両小説は実際に似た点がかなり多い。日本による植民地支配期の独立運動と民衆の生活を扱った『小さな地の獣たち』は、昨年12月に米国で出版され、アマゾンブックスの「今月の本」に選ばれた。平和を促進するために書かれた文学作品に与えられる「デイトン文学平和賞」に最終ノミネートされた。米国で2017年に出版された『パチンコ』も、日本の植民地支配が背景で、長期間米紙ニューヨーク・タイムズとアマゾンブックスのベストセラーとなり、「全米図書賞」に最終ノミネートされた。
『小さな地の獣たち』は、植民地支配期に小作農の娘に生まれ、妓生(キーセン)となったオクヒが主人公。京城(キョンソン)で妓生の家を運営するイェダンと独立軍を結成したミョンボ、日本軍の伊藤などが絡み合い、激動の近代史を乗り越えていく。
「白凡(ペク・ボム)金九(キム・グ)先生の独立運動を助けた母方の祖父の話を幼い頃から聞かされました。そのような祖父を両親はいつも誇りに思っていました。そのおかげで、韓国の歴史書や小説をよく読みました。それが、韓国が背景の小説を書くことになった最大の原動力になったようです」
1987年に仁川(インチョン)で生まれたキムさんは、9歳で米オレゴン州ポートランドに移住した。プリンストン大学で美術史学を専攻した後、出版社で働いたが、人種差別、性差別で苦労したという。ある上司に「お前は召使いだ」とまで言われて会社を辞め、小説に邁進した。貯えがなく、99セントの豆とオートミールを食べて耐えてきたが、キムさんは「後悔しない」と話した。
「小説の完成までに6年かかりました。米国で様々な差別を受けましたが、いつも私が持っている(韓国系女性という)アイデンティティを誇りに思ってきました。そんな自尊心が韓国歴史小説を書く支えになったと信じています。次回作はロシアとフランスを背景にしたバレリーナを扱おうと思っています。韓国に行ったのは20年前(2002年)ですが、近いうちに行って国立バレエ公演を見たいです」
イ・ホジェ記者 hoho@donga.com