「一人だけ生き残って申し訳ありません。本当に申し訳ありません」
31日午前11時頃、ソウル龍山区梨泰院(ヨンサング・イテウォン)駅の1番出口前。市民たちが梨泰院のハロウィーン惨事を追悼するために自主的に作ったこの空間に、白い菊数百本が置かれていた。黒いスーツを着たソ・ゴンフンさん(36)は、その前にひざまずいて黙祷後、お辞儀をしながらこう語った。
29日の惨事当時、ソさんは惨事現場の近くで友人たちとハロウィーンを楽しんでいた。人々が狭い路地に一気に集まって揉み合う姿を目撃したため、友人たちと一緒に急いで現場を抜け出したという。彼は、「何もできず罪悪感に苦しめられたが、追悼空間ができたので訪ねてきた」とし、「一人だけ抜け出して本当に申し訳ない」と涙を飲み込んだ。
31日、ソウルの各地に設けられた追悼空間には、梨泰院惨事の犠牲者を追悼する市民の行列が一日中続いた。特に惨事現場が一目で見える梨泰院駅の1番出口は、追悼文が書かれたメモ紙と菊、市民が注いでおいた杯などでいっぱいだった。
ソウル市も、同日午前10時から中区(チュング)のソウル広場に合同焼香所を設け、国家哀悼期間の11月5日まで運営することにし、龍山区も綠莎坪(ノクサピョン)駅の近くに合同焼香所を設けた。
ソウル広場の焼香所には、同日午前から近くの幼稚園児10人あまりが訪れ、犠牲者を追悼した。引率教師のハ・ヘリムさん(27)は、「子供たちが『人が痛くない(苦しまない)ように祈ってあげたい』と言って、一緒に焼香所を訪れた」と話した。チュニジア国籍のジヘッド・ジェマイさん(33)も、「事故が発生する前に、私も梨泰院に行ってきた」とし、「残念で何を言えばいいのかよく分からない。痛みを経験している遺族を慰めたい」と話した。
弔問に来られない市民たちも、ソーシャルネットワークサービス(SNS)に、「PRAY FOR ITAEWON」(梨泰院のために祈ります)の文句が書かれた白黒イメージなどをアップロードし、オンラインで追悼した。
イ・スンウ記者 パク・ジョンミン記者 suwoong2@donga.com · blick@donga.com