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梨泰院惨事のトラウマを広げる「嫌悪表現」を慎むべき

梨泰院惨事のトラウマを広げる「嫌悪表現」を慎むべき

Posted November. 01, 2022 08:51,   

Updated November. 01, 2022 08:51

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梨泰院(イテウォン)のハロウィーン惨事で国家哀悼期間が宣言された中、オンライン上では犠牲者をあざ笑ったり非難したりする文が出回っている。「外国の祝日をなぜ祝うのか」や「遊んで死んだのに哀悼しなければならないのか」という文が代表的だ。事故現場を撮影した刺激的な映像と、事故原因に関する虚偽情報まで広がっている。表現の自由を超えた嫌悪表現であり、虚偽事実の流布で法的・倫理的責任を問うことができる行為だ。

今回の惨事で死亡したり怪我をした人たちは、災害の原因提供者ではなく被害者たちだ。中間テストを終えた児童生徒たち、結婚を控えた予備夫婦、友人の誕生日を祝いに出てきた若者たちが不意の事故で命を落とした。アルバイトをしながら生計を立てていた幼い家長や、妊娠3ヵ月の妻を故国に残して仕事に来たスリランカ人もいる。一夜にして愛する人を見送った遺族たちは、「刀に数億回刺された痛み」や「世の中が崩れる悲しみ」を訴えている。このような気持ちを少しでも察するなら、犠牲者のせいにしてあざ笑う文を勝手に掲載することはできないだろう。

梨泰院惨事の原因を、麻薬やガス漏れのせいにする陰謀論や偽りの情報も問題だ。事故原因を調べている警察と消防当局は、麻薬との関連性は確認されておらず、ガス漏れとも関係がないと明らかにした。根拠のない主張を流布し共有する行為は、事故収拾に役立たないだけでなく、法的処罰を受けることもありうる。オンラインでは、事故前後の現場を撮った映像がモザイク処理もされていない状態で出回っている。共同体の一員なら、犠牲者の名誉を傷つけ、生き残った人々をさらに傷つけることは慎むのが道理ではないか。

ソウル市庁前の広場と梨泰院綠莎坪(ノクサピョン)駅の広場に設けられた合同焼香所、事件現場前に設けられた追悼空間には弔問行列が長く並んだ。犠牲者と同年代の若者たち、子どもの手を取ってきた夫婦、多様な国籍の外国人観光客たちが菊の花を置いて故人を追悼している。オンラインでも、「PRAY FOR ITAEWON」(梨泰院のために祈ります)という文句と共に、世界的な哀悼の動きが起きている。隣人の不幸を共に悲しむ連帯意識から、より安全な社会を作る力を得ることができるだろう。