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人生のそばにいる存在

Posted November. 03, 2022 08:17,   

Updated November. 03, 2022 08:17

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グスタフ・クリムトは、神話になぞらえた官能的な女性ヌード画や華麗な黄金色の絵で有名だ。灰色の地の上に描かれた「死と人生」は、彼が最高の名声を享受した40代後半に描いた油絵だ。最も輝いていた時期に、クリムトはなぜ突然死という重いテーマを描いたのだろうか。

絵は、死と人生の姿を大胆な構成で見せてくれる。画面の右側には、華やかな花に囲まれた母親と赤ん坊、年配の女性、愛する恋人などが絡み合っている。生まれて成長し、愛し、老いていく人生の姿を形象化した。画面の左側には、死が一人で立っている。十字架の模様が刻まれた青い服を着て、赤い棍棒を持った骸骨は、まるで誰を連れて行こうかと品定めする死神のように見える。

クリムトが、この絵を初めてスケッチしたのは1908年。大型キャンバスに油絵に変えたのは、2年後だ。生と死は、クリムトだけでなく、その時代の人々の話題でもあった。終末論の思想が流行していたうえ、1908年にポルトガル国王カルロス1世とその長男が街頭で暗殺されたのに続き、イタリア・メッシーナで起きた強い地震で8万人以上が犠牲になった。個人的にも、クリムトは30歳の時、父親と弟を次々と亡くし、死に対する恐怖を常に持っていた。

この絵は1911年、ローマ国際美術展に出品され、クリムトに金メダルを抱かせ、以後ヨーロッパの多くの都市で展示され賛辞を受けた。しかし、1915年、クリムトは突然絵を完全に修正した。もともと金色だった背景を、今のように濃い灰色に変え、モザイク模様も追加した。静寂だった死の姿も、活動的に修正した。おそらくタイタニック号沈没事故と母親の死亡で、死の気配をより身近に感じたためだろう。

死が怖くない人などどこにいるだろうか。しかし、画家は死を人生のそばにいる存在と考えることにしたようだ。絵の中の人物の表情が、一様に平穏な理由だ。この絵が完成してから3年後、クリムトも両親のいる天に向け遠い旅に出た。