北朝鮮が蔚山(ウルサン)沖に戦略巡航ミサイル2発を2日に発射したと主張したが、韓国軍当局はこれを一種の欺瞞戦術と見て一蹴した。これに先立ち、北朝鮮は分断後初めて東海(トンへ・日本海)上の北方限界線(NLL)以南の束草(ソクチョ)沖に短距離弾道ミサイル(SRBM)を発射し、韓国軍は空対地ミサイルをNLL以北の東海上に投下して対応した。これを北朝鮮は誇張して、韓国の最南端まで奇襲核攻撃能力を実証したと虚偽の主張をしたのだ。
●軍「北朝鮮の公開内容がすべて事実というわけではない」
北朝鮮総参謀部は7日、労働新聞を通じて、2日から5日までの軍事作戦を詳細に言及した。そして、「すべての対応軍事作戦は計画された目的を成功的に達成した」と主張した。
特に注目されたのは、2日に咸鏡北道(ハムギョンプクト)地域から590.5キロの射程距離で、蔚山沖80キロ付近の公海上に戦略巡航ミサイル2発を発射したと主張したことだ。総参謀部は、ミサイル発射の写真と弾着地点の緯度、経度の座標まで提示した。
韓国軍は真っ向から反論した。軍関係者は、「巡航ミサイルの発射地点を特定することは容易ではないが、南に飛翔すればグリーンパインレーダー(早期警戒レーダー)やピースアイ(空中早期警報管制機)、イージス艦など偵察兵器に捉えられるだろう」と指摘した。また「偵察衛星など米側の情報まで総合する過程で、航跡が把握されるほかない」とも述べた。ただし、超低高度で飛行経路を変えながら迎撃網を回避する巡航ミサイルの特性上、韓国軍が確認できなかった可能性も提起されている。
北朝鮮が3日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の機種をめぐっても、当時の韓国軍の判断と北朝鮮の公開報道内容は交錯した。新型ICBM「火星(ファソン)17」という軍の判断とは異なり、北朝鮮が公開したミサイルは火炎噴射口(ノズル)が2つの「火星15」だった。軍関係者は、「今日北朝鮮が公開した内容がすべて事実というわけではない」とし、「韓米は、北朝鮮が発射したICBMが正常に飛行しなかったことについて(北朝鮮が)報道していない点に注目する」と述べた。北朝鮮が正常発射に失敗したことを隠すためにICBMの機種を偽った可能性があるということだ。
北朝鮮が各種戦闘機500機を総動員した大規模出動を4日に実施したと主張したことも、韓国軍は誇張と見ている。当時、軍用機の航跡が約180機しか捉えられていないためだ。
●北朝鮮、電磁パルス(EMP)弾頭試射
北朝鮮は、2~5日に発射した弾道ミサイルに地下浸透戦闘部(地下貫通弾)、散布弾戦闘部(分散弾)が装着されたと主張した。核武力だけでなく、従来の挑発オプションまで多様化する動きを見せたのだ。標的を攻撃する際に子弾が分散する散布弾戦闘部が北朝鮮版エイタキムス(KN24)と超大型放射砲(KN25)に装着されたと明らかにしたのは今回が初めて。また、「(3日に)敵の作戦指揮体系を麻痺させる特殊機能戦闘部の動作信頼性を検証する重要な弾道ミサイルの試射を行った」と主張した。電子通信機器の内部回路を燃やして回復不能にする電磁パルス(EMP)弾頭を装着してテストしたのではないかとみられている。
申圭鎭 newjin@donga.com