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うるさいと爆弾が爆発する! 息をのむ観客たち 映画「デシベル」

うるさいと爆弾が爆発する! 息をのむ観客たち 映画「デシベル」

Posted November. 09, 2022 08:13,   

Updated November. 09, 2022 08:13

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多国籍海上合同軍事演習に参加して復帰していた海軍潜水艦「漢拏(ハルラ)」が、グアム近海で正体不明の魚雷に撃たれた後、行方不明になる。誰も生きて帰れないと思ったが、副艦長のカン・ドヨン中佐(キム・レウォン)は乗組員の半分を率いて生還する。ドヨンは一夜にして国民英雄になる。しかし、ドヨンは何か不安そうだ。

ドヨンに疑問の電話がかかってくる。漢拏艦の生存将兵の自宅や遊び場などに爆弾を仕掛けたという。疑問の声は、サッカー競技場とウォーターパークにも爆弾を仕掛けたという。爆弾は単なる時限爆弾ではなく、騒音に反応するように設計され、騒音が大きくなるたびに爆発まで残った時間が半分ずつ減る。観衆の歓声、ウォーターパークのホイッスルの音など、すべての騒音が起爆剤の役割をする。ありふれた日常の騒音が、一瞬にして致命的な武器になったのだ。爆弾の特性と設置可否を自分のみ知っているドヨンは、犠牲者を減らすための死闘を繰り広げる。

映画「デシベル」は、騒音反応爆弾という新鮮な素材で好奇心を刺激する。騒音が大きくなる度に、「ピピッ」という音がして、時間が早く減る爆弾を見れば、観客も息をひそめてしまう。「サウンドテロアクション」を打ち出した映画らしく、様々な騒音と爆発音は緊張感と没入感を同時に引き上げる役割を十分に果たす。

疑問の声の主人公は、漢拏艦の武装官として勤務して生還した大尉のテソン(イ・ジョンソク)。テソンがどういう理由で自分の上司だったドヨンを最悪の状況に追い込むのかと、疑問を増幅させる演出力は高い水準だ。口では言えない秘密があるようなキム・レウォンのどっしりとしながらも焦りがにじみ出る演技と、過度に悲壮になる余地が多い役割を冷徹にこなしたイ・ジョンソクの演技は、リアルさを引き上げる立役者だ。潜水艦の内部を臨場感溢れるように具現し、魚雷の発射シーンや魚雷を避けるために潜水艦が高速起動するシーンなど、水中状況を実際の作戦のようにリアルに演出した点も没入感を高める。

何よりも、様々な日常騒音と爆発音で耳元を叩いた後、瞬く間のミュートで緊張感をピークに引き上げるなど、騒音と静けさを賢く活用し、観客を牛耳るファン・インホ監督の演出力が目立つ。110分間ずっとたるまないように、几帳面に満たそうと念を入れた跡が歴然としている。

ただ、一部の設定が天安(チョンアン)艦襲撃事件をめぐる陰謀論を連想させるなど、議論の余地を残した点は残念だ。後半部の過度なスローモーションの活用も多少気に障る。それでも手に汗を握らせる演出と新鮮な素材、俳優たちの隙のない熱演がこれをほとんど相殺するだけに、映画を見る理由は十分だ。16日公開。


孫孝珠 hjson@donga.com