米ニューヨーク・マンハッタンのスラム街を再現した舞台。幕が上がると、ポーランド系白人の青年ギャング「ジェット団」と南米プエルトリコ系ギャング「シャーク団」が対立する場面が繰り広げられる。抗争の絶えない2つのギャングを和解させようとニューヨーク警察が開催した舞踏会でジェット団出身のトニー(キム・ジュンス、パク・ガンヒョン、コ・ウンソン)とシャーク団のリーダー、ベルナルド(キム・チャンホ、イム・ジョンモ)の妹マリア(ハン・ジェア、イ・ジス)が一目で恋に落ち、踊りを踊る。敵対するギャングに所属する男女が恋に落ちるところから話は始まる。
ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」が2007年の韓国国内公演以来15年ぶりに、ソウル中区の忠武(チュンム)アートセンターで17日に開幕した。米ニューヨークのブロードウェイでの1957年の初演から話題を呼んだこの作品の原作は、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」。モンタギュー家とキャピュレット家はジェット団とシャーク団で、ロミオとジュリエットはトニーとマリアだ。
「ウエスト・サイド・ストーリー」は、当代最高の創作者たちが共に作り出した名作としても有名だ。ヒッチコックの映画「ロープ」で有名なアーサー・ロレンツが脚本を書き、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の黄金期を率いた指揮者レナード・バーンスタインが作曲を担った。ミュージカル「スウィーニー・トッド」原作者のスティーブン・ソンドハイムが作詞を、ジョージ・バランシンに次いでニューヨーク・シティ・バレエ団の助監督になったジェローム・ロビンズが演出と振付を務めた。
物語は対立と怒り、憎しみだけが存在していた2つのギャングの間に愛という感情が割り込んで生じる亀裂をたどる。意図せず芽生えたトニーとマリアの愛は、途方もない分裂を生み、状況はますます悲劇に向かう。「ロミオとジュリエット」の起承転結から離れず、やや単調に感じられるストーリーに、華やかさと独創性を加えるのは歌と振付だ。キム・ジュンス、パク・カンヒョン、キム・ソヒャンら歌唱力が際立つ俳優たちは、高く、低い音域を自由自在に行き来するナンバーを見事に消化する。20人のオーケストラの演奏が会場に響き渡る。
ダンスミュージカルの嚆矢と呼ばれるほど「ウエスト・サイド・ストーリー」ではダンスが重要だ。主・助演だけでなくアンサンブル俳優にも割り当てられた振付があるほどだ。特に第1幕前半のジェット団とシャーク団が一体となって披露するアンサンブル群舞シーンは欠かせない見どころ。青色系の衣装を合わせて着たジェット団と赤色系のシャーク団が双方に分かれて切れのある群舞を繰り広げる。アクロバティックな振付は、大規模であるだけでなく洗練されている。ただ、振付の激しさのあまり、群舞が終わってもしばらくの間マイクから役者の息づかいが伝わるのが残念だ。来年2月26日まで、7万~16万ウォン。
李知訓 easyhoon@donga.com