Go to contents

詩人の黄仁淑氏「解放村の丘に漂う暮らし、ちょっと遊びに来た観光客は知らない」

詩人の黄仁淑氏「解放村の丘に漂う暮らし、ちょっと遊びに来た観光客は知らない」

Posted November. 30, 2022 08:54,   

Updated November. 30, 2022 08:54

한국어

「私の住む町には、上り坂が多い/しかも近道は必ず上り坂だ/まるで私の人生のように」(詩「私の人生のきれいなふくらはぎ」より)

詩人の黄仁淑(ファン・インスク)氏(64)は、最近出版した9作目の詩集「私の人生のきれいなふくらはぎ」(文学と知性社)で、ソウル龍山区(ヨンサング)の解放(へバン)村をこのように表現する。黄氏は1986年、家賃が安いところを探して解放村に入ってきて、今は小さな屋上部屋に住んでいる。丘の多い町、急な路地を毎日上り下りするために太くなったふくらはぎを見て、黄氏は逆説的に「きれいだ」と表現する。電話で28日に会った黄氏は、「解放村の丘を上り下りすると、人生について考えるようになる」と淡々と話した。

「平地に建てられたマンションで生まれ、つかの間解放村に遊びに来る観光客は知りません。老人が古紙の入った車を引いて、商人が重い箱を運ぶこの丘には人生がにじみ出ているということです」

黄氏が詩集を出したのは、「いつでも夕方」(現代文学・2019年)以来3年ぶりのことだ。黄氏は、新作に解放村の後ろ姿を描いた。詩人は仕事帰りの外国人労働者を見て、「濃くて濃い暗褐色/幻影のように座っていた」(「闇の色」より)と書いた。物を売るために大声を出す市場の商人を見て、「ひっくり返ったコガネムシのように倒れて/バタバタする趣もある」「(「市場の愛」より)と解説した。

1984年に、「私は猫に生まれる」という詩で登壇した黄氏は、毎日午後7時から翌日午前3時まで解放村を回りながら野良猫に餌を与える。しかし、「町を一周して/帰り道に見ると/猫の茶碗が消えた」(「春の悪口のワルツ」より)ということも起きているのが現実。解放村にいつまで住むのかと聞くと、黄氏は静かに答えた。

「私が面倒を見る猫だけでもほぼ80匹もいます。家賃を払えなくて追い出されるまで、ここに住むつもりです」


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com