韓国の月周回衛星「タヌリ(KPLO)」が、目標の軌道の投入に成功した。来年から科学観測データの受信や技術検証試験を実施する。韓国初の宇宙探査であり、米国やロシア、インド、中国、日本などに続く世界7番目の月探査だ。韓国が宇宙探査機の運用ノウハウを確保し、本格的な宇宙探査時代を開くと評価されている。
科学技術情報通信部と韓国航空宇宙研究院は28日、タヌリの月軌道投入の最終成功を27日午後6時に確認したと明らかにした。タヌリプロジェクトを率いる韓国航空宇宙研究院月探査事業団のキム・デグァン団長は、「韓国が地球外の他の惑星に行くことができるようになった。今回の成功で、深宇宙探査に必要な核心技術を確保した」と話した。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も同日、フェイスブックを通じて、「韓国が全世界に宇宙科学技術の重要性を知らせ、世界7大宇宙強国に跳躍した歴史的瞬間」とし、「長い期間、タヌリの開発に邁進してきた研究者の労苦に心から感謝する」と激励した。
重量約678キロのタヌリは、横3.18メートル、縦6.3メートル、高さ2.67メートルの韓国初の月周回衛星だ。8月5日、米フロリダ州ケネディ宇宙センターで、スペースXのロケット「ファルコン9」に搭載されて打ち上げられた後、地球や月、太陽の重力を利用して月軌道に投入する「弾道月遷移(BLT)」で月に向かった。合計約730万キロの長い航行を経て、145日で軌道投入に成功した。
現在タヌリは、目標の月上空100キロの軌道で、秒速1.62キロの速さで、1周約2時間で月を周回している。来年1月末まで搭載体の性能の確認と誤差、歪みを調整する作業を行う。
来年2月からは本格的に任務に乗り出す。タヌリには、韓国国内の研究機関と大学が開発した観測装備や宇宙インターネットなど国産の5つの搭載体と米航空宇宙局(NASA)が提供した月の極地方の撮影カメラが搭載されている。世界初の月面全体の偏光地図の制作のほかにも、NASAの有人月面探査計画「アルテミス」で月の有人着陸に適した候補地を探す任務も行う。
タヌリが月軌道に安着し、韓国が深宇宙探査に向けた基盤技術を備えることになったと評価されている。科学技術情報通信部のオ・テソク第1次官は、「今回の成功で、2032年に月着陸船を送ることが現実的な目標になった」とし、「軌跡の設計、航行、管制、深宇宙通信技術などを確保した」と強調した。
コ・ジェウォン東亜サイエンス記者 jawon1212@donga.com