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すべての生命は尊い

Posted January. 05, 2023 08:58,   

Updated January. 05, 2023 08:58

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オーストリアのアルベルティーナ美術館に行けば、一匹のうさぎに会うことができる。アルブレヒト・デューラーが描いたもので、おそらく西洋美術史で最も有名なうさぎだろう。A4用紙より小さな水彩画が名画というのも訝しいことだが、画家がなぜうさぎをモデルにしたのか、どのようにして生きている動物をこのように精巧に描写できたのかが気になる。

ドイツのニュルンベルク生まれのデューラーは10代初めから自画像を描くほど自意識がはっきりしていた。24歳の時にイタリアから戻って故郷で作業場を開いた。優れた絵の実力により、すぐに名声を得ることができた。デューラーが31歳の時に描いたこの絵は、茶色のうさぎが前足をそろえて大人しく座っている。大きく長い2つの耳はピンと立ち、首、胴体、後足の毛は異なる方向を向いていた。その姿は写真のようにリアルで鮮やかだ。うさぎは、各文化圏で様々な象徴性を持つ。強い繁殖力のためか、西洋では主に多産の象徴とされる。

この絵のドイツ語のタイトルは「野うさぎ(Feldhase)」だ。野生の動物をどうしてこのように繊細に描くことができたのだろうか。多分1匹を捕まえて作業室で観察して描いたのかもしれない。背景は省略されているが、うさぎの瞳に映った窓枠や床の影が、このような推測に力を与える。絵の下段には、デューラーの署名に代わるモノグラムと制作年度が書かれており、水彩画だが習作ではなく、独自の作品であることを示している。

画家はうさぎの絵を通じて優れた技量を見せ、作品の繁殖の望みを伝えたかったようだ。実際その後、デューラーの作品は外国で人気を呼んで複製され、国際的な名声を博した。

デューラーは、うさぎを間近で長く観察しただろう。観察は関心だ。関心がなければ長く観察することはできない。関心は愛である。この平凡なうさぎを名画の主人公にしたのも、生命への愛と長い観察の力だろう。この絵のメッセージは、こういうことではないだろうか。すべての生命は尊い、と。