モダニスト詩人で小説家だった李箱(イ・サン、本名・金海卿、1910~37)が作品活動初期に日本語で書いた詩28編を再翻訳してまとめた詩集『永遠の仮説』が出版された。
日本の植民地支配期、朝鮮総督府の建築技師として働いていた李箱は、1931~32年、建築専門誌『朝鮮と建築』の漫評欄に、「不思議な可逆反応」、「破片の景色」、「▽の遊戯―」などの詩を日本語で連載した。
過去にも翻訳本があったが、「21世紀の言語による解釈と翻訳」が必要だと判断し、高麗(コリョ)大学民族文化研究院のキム・ドンヒ研究教授が再び翻訳した。56年に文学評論家の林鐘国(イム・ジョングク、1929~89)が初めて翻訳し、「李箱全集」(3巻)として出版して以来67年ぶり。
キム氏は15日、ソウル鍾路(チョンロ)区のレストランで開かれた記者懇談会で、「既存の翻訳全集には読者の理解を助けるために注釈があり、意訳がなされていたが、今回の作業では注釈を排除し、日本語の詩の原文を綿密に考証して可能な限り直訳した」と話した。読者が翻訳の枠にとらわれずに詩に接するようにするためだ。
過去の翻訳本は、日本語の縦書きの原文のように「分かち書き」がなかったが、今回の作業では、李箱が分かち書きの省略を意図したのか、それとも単に当時の表記の慣習に従ったのか分からないため、現在の表記法のように分かち書きにした。
古い口調は現代語に変えられた。過去の翻訳本で、「基督の貨幣は見られるほど貧弱であったから」(「二人・・・2・・・」より)は、「キリストの貨幣は見られぬほど貧弱で」と訳した。「慈善家としての女は一役買う心算だが」(「狂女の告白」より)は、「慈善家としての女はひと肌脱いだつもりで」と変更された。「かれこれと数字の COMBINATIONを忘却していた」(「LE URINE」より)は、「数字の COMBINATION をかれこれと忘却していた」と語順を変えて自然に読めるようにした。
新しい翻訳本の出版を提案した出版社「イッタ」のキム・ヒョンウ代表は、「当時の文人の中で2つの言語(日本語、朝鮮語)で詩を発表し、日本の詩人と肩を並べたのは李箱だけだ」とし、「韓国近代文学の新たな地平を開いた李箱の詩を多くの読者に読んでもらいたい」と話した。
チェ・フンジン記者 choigiza@donga.com