岸田文雄首相が選挙の応援演説を始める直前、20代の男性によって爆発物が投げ込まれる事件が発生した。9ヵ月前の昨年7月、安倍晋三元首相が応援演説中に銃で撃たれて死亡した。岸田氏にけがはなかったが、元・現首相を狙ったテロが相次いで発生し、来月広島で開かれるG7サミット(主要7ヵ国首脳会議)が差し迫っていることもあり、日本列島は衝撃に包まれた。
16日、日本メディアによると、15日午前11時26分頃、和歌山市の雑賀崎の漁港で選挙の応援演説を行う直前の岸田氏に対して、群衆の中にいた男が銀色の金属製とみられる筒状の物体を投げた。
岸田氏の背後で何かが落ちて現場が騒然となると、すぐに警護員が防弾カバーを広げた。物体を投げた20代の男は、周囲の聴衆らにすぐに取り押さえられ、警察に逮捕された。爆発物が地面に落ちてから52秒後に「パン」という爆発音が鳴ったが、岸田氏はその前に現場を離れた。警察によると、聴衆数人が爆発物の破片でけがをしたという。
警察は、兵庫県に住む24歳の男、木村隆二容疑者を逮捕した。容疑者は黙秘権を行使しており、警察は容疑者の自宅を家宅捜索し、事件の動機などを捜査している。
岸田氏は23日に実施される統一地方選挙および5つの選挙区の衆・参議員選挙を控え、応援に訪れていた。岸田氏の応援演説の日程は14日、与党自民党のホームページや立候補者のソーシャルメディアなどで公開された。昨年襲撃された安倍氏の応援演説の日程も事前に公開された。韓国では、大統領の外部日程はセキュリティ上、徹底して「エンバーゴ」(一定時点まで報道を猶予)にする。
有力政治家を狙ったテロ事件が相次いで発生し、日本国民の不安感が高まっている。岸田氏は、「民主主義の根幹である選挙で起きた暴力は絶対に許されない」と述べ、5月19~21日に開かれるG7サミットの警備態勢の強化を指示した。
東京=イ・サンフン特派員 sanghun@donga.com