米国オープンAIのチャットGPTに代表される生成型人工知能(AI)技術が、グローバル情報技術(IT)の生態系に地殻変動を起こしている。三星(サムスン)電子がモバイル分野でグーグルと13年間続けてきた「検索サービス」の同盟関係に変化が起きるだろうという観測が提起され、クラウドおよびソーシャルネットワークサービス(SNS)企業が生成型AI市場に続々と挑戦状を突きつけている。
米紙ニューヨークタイムズは16日(現地時間)、三星電子がギャラクシースマートフォンに搭載する基本検索サービスを、グーグルの代わりにマイクロソフト(MS)の「ビング」に代替する案を検討していると報じた。同紙は、「グーグル検索事業の最初の潜在的亀裂が発生した」と評価した。
三星電子は、2010年以降発売したスマートフォンにグーグル運営体制(OS)のアンドロイドを採用し、グーグル検索サービスを基本アプリケーション(アプリ)として搭載した。市場調査会社のスタットカウンターによると、グーグルは世界の検索市場において昨年基準で93%のシェアを占めるトップ企業だ。
しかし、最近になって、MSの検索サービス「ビング」にオープンAIの最新の大規模な言語モデル(LLM)「GPT-4」が採用され、状況が変わった。ユーザーたちが、検索市場1位事業者であるグーグルの代わりに、利便性の高い新しい選択肢について再考する環境が作られたという評価が出ている。
IT業界では、当初の予想より早く、グーグルの検索市場1位の地位が揺れていると見ている。グーグルは、AI基盤の対話型サービス「バード(Bard)」を、米国と英国などの一部地域で制限的に公開している。
三星電子は内部で、グーグルやMSとの協力案について多様に検討しているという。韓国IT業界の関係者は、「三星電子とグーグルの長年の協力関係などを考慮すれば、MSへと検索サービスを完全に変えるのは容易な作業ではないだろう」と話した。三星電子は、グーグルの検索サービスをギャラクシーシリーズに採用し、毎年30億ドル(約3兆9300億ウォン)を払っているため、三星電子が検索サービスを入れ替えれば、グーグルの売上にも少なからぬ影響が予想される。
危機感を感じたグーグルは、AI機能を検索サービスに早く採用するための多様なプロジェクトを進めているという。職員160人が参加する「Magi」プロジェクトが代表的だ。既存の検索結果とAIの回答を合わせて見せる形のサービスを開発するのが目標で、グーグルは早ければ来月、このサービスを公開する予定だ。年末までに3000万人のユーザーを確保するという目標も立てている。
グーグルやMSだけでなく、多様な米国の先端技術企業も追撃者として乗り出している。ウォールストリートジャーナル(WSJ)などによると、テスラの創業者であるイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、米ネバダ州に「X.AIコーポレーション」という名前の企業を設立した。マスクは、AI企業ディープマインドで勤務後退職した専門家を迎え入れたという。「X.AIコーポレーション」が、オープンAIに対抗するための事業を展開するだろうという推定が出てくる理由だ。
マスクはこれまで、GPT-4を凌ぐ生成型AI技術の開発を中断しようと主張してきたが、関連業界では、オープンAIとMSにAI市場の主導権を奪われたマスクが追撃の時間を稼ぐために開発中断を要求したという分析が出ている。
アマゾンウェブサービス(AWS)も13日、大規模な言語モデル「タイタン(Titan)」と、これを基盤とする生成型AI企業用クラウドサービス「ベッドロック(Bedrock)」をプレビューの形態で発売した。ベッドロックは、チャットGPTのように長文の生成機能を備えており、企業が独自にAIを開発したり性能を高めたりすることができるサービスだ。メタ(旧フェイスブック)は5日、公式ブログを通じて、写真と動画からイメージを分割できるAIモデル「サム(SAM)」を公開した。写真で複数の項目を個別に識別し、これを仮想現実(VR)などに活用できるようにしたサービスだ。
ナム・ヘジョン記者 チ・ミング記者 namduck2@donga.com · warum@donga.com