北朝鮮が先月13日に初めて発射実験した固体燃料エンジン大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)18」は、ロシアの「ヤルス(RS24)」を目標に開発された多弾頭ICBMの可能性が高いという主張が提起された。多弾頭ICBMは、一度に複数の標的を攻撃することができる。北朝鮮が、ニューヨークやワシントンなど米国の主要都市に対する同時多発的な核攻撃用ICBMの開発に力を入れているということだ。
韓国国防研究院(KIDA)のシン・スンギ研究委員は5日に発表した報告書「火星18の初の発射実験の評価及び含意」で、「事実上、火星18は(ロシアの)単弾頭搭載型トーポリMを多弾頭搭載型に性能を改良・発展させたヤルスを目標に開発されたとみられる」と分析した。
また、火星18の長さは23メートル前後、直径は2メートル前後、重量は55~60トン程度と推定した。ヤルス(22.5メートル)よりも胴体は火星18が少し長い。ヤルスは、ロシアが1990年代~2000年代に開発した3段式固体燃料ICBMであるトーポリMを多弾頭に改良した機種。最大10基の核弾頭を搭載し、音速の20倍以上で1万2千キロまで飛ぶことができる。ロシアは昨年10月、プーチン大統領が視察した核訓練で、ヤルスの発射実験を公開し、ウクライナに警告したことがある。
シン氏は、北朝鮮の固体燃料エンジンの技術レベルが米国、ロシアより低いことを考慮すると、火星18の発射重量に対する搭載重量を「2%前後」と推定した。55~60トンと推定される火星18に1.1~1.2トンの弾頭を搭載できるという意味だ。
そのうえで、火星18がトーポリMと類似した500キロトン(1キロトンはTNT1000トンの爆発力)級の単弾頭やヤルスと類似したレベルの150~200キロトン級の核弾頭3発を搭載する可能性が高いと分析した。これは第2次世界大戦当時、日本の広島に投下された原爆(15キロトン)の30倍以上の威力だ。シン氏はまた、先月の発射実験で火星18が正常軌道発射後、2段推進段階から高角で軌道を変えたという北朝鮮の主張が事実である場合、ミサイル防衛システムの探知・追跡・迎撃回避のための「エネルギー管理操縦技法(GEMS)」を開発中であることを示唆すると主張した。
シン氏は、火星18を「固体燃料ICBM初期型」と推定した。そして、北朝鮮が性能改良型を公開する可能性が高いとし、性能改良型はメガトン(Mt)級高威力単弾頭または最大5~6発の多弾頭が搭載されると見通した。
尹相虎 ysh1005@donga.com