林芳正外相(写真)や冨田浩司駐米大使など政府高官が、東京に北大西洋条約機構(NATO)連絡事務所を開設する方向で調整していることを明らかにした。これまでにも、日本が、北朝鮮、中国、ロシアなどの脅威に備えるためにNATOとの協力を強化し、来年にアジアで初めて日本国内に連絡事務所を開設すると日経アジアなどが報じたが、政府関係者が公式に言及したのは初めて。
林氏は10日、国会でNATO連絡事務所の開設について問われ、「まだ決まっていないが、そういった議論があることは申し上げておきたい」と答えた。冨田氏も9日、ワシントンで記者会見し、「パートナーシップを強化する取り組みのひとつだ」と述べた。
1949年に設立されたNATOは現在、31の加盟国以外にウクライナとジョージアにも連絡事務所を置いている。アジアで初めて日本に事務所が開設されれば、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランドなどと共に中国、ロシアの挑戦を牽制する拠点になるものとみられる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相は昨年6月、スペイン・マドリードで開かれたNATO首脳会議にそれぞれ自国首脳として初めて出席し、NATOとの協力を強化する考えを示した。
中国は激しく反発している。中国外務省の汪文斌報道官は8日、記者会見で、「NATOは絶えず地域の緊張情勢を誇張し、陣営対立を助長している。今やアジア太平洋地域での陣営対立を煽っている」と批判した。中国共産党機関紙・人民日報も同日、最近、韓米日3国が軍事的に緊密化するにつれ、人民解放軍は「高い警戒心」を維持しなければならないとし、「3国の軍事協力は域内の安全保障状況を悪化させるだろう」と主張した。
林氏は同日、中国の呉江浩駐日大使が先月末、台湾と日本の安全保障を結びつけないよう求め、「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」と警告したことを受け、中国側に厳しく抗議したと明らかにした。林氏は10日、「在京大使の発言として極めて不適切だ。外交ルートを通じて抗議した」と述べた。呉氏は過去に何度も日本で勤務したことのある日本通で、今年3月に就任した。
東京=イ・サンフン特派員 北京=キム・ギヨン特派員 sanghun@donga.com