独裁打倒を叫ぶ「いわゆる進歩」、職務遺棄の「根に持つ政府」
Posted June. 16, 2023 08:32,
Updated June. 16, 2023 08:32
独裁打倒を叫ぶ「いわゆる進歩」、職務遺棄の「根に持つ政府」.
June. 16, 2023 08:32.
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2008年5月、筆者は見習い記者を終えた後、社会部に配置され警察を出入りする事件チームの記者になった。正式記者になったという喜びが消える前に、同じ時期に始まった米国産牛肉輸入反対デモの現場を数ヵ月間取材しなければならなかった。デモ隊は、就任してから数ヶ月も経たない李明博(イ・ミョンバク)大統領に向かって「独裁打倒」、「明博退陣」などのスローガンを叫んだ。民主的手続きによって選出された大統領を否定し、独裁の烙印を押すいわゆる進歩陣営を見ながら苦笑した記憶が生々しい。本当の独裁政権だったら、彼らが「独裁」と勝手に叫ぶこともできなかっただろうという考えからだった。その上、一部は暴力デモに変質していった。「進歩」の辞書的意味とは関係なく、代案がなくそのまま使ったのが進歩陣営という表現だった。歴史は15年が過ぎて繰り返されている。いわゆる進歩陣営では、日本の福島汚染水の放流問題と関連して似たような主張をし始めた。狂牛病怪談のように汚染水怪談と偽ニュースも流れ始めた。野党は食べ物に敏感な民心を政治的に利用し、一部の団体は街頭で「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領退陣」というスローガンを叫んでいる。しかし、もはや「独裁」という主張に拍手をする国民はほとんどいない。その大半が誇張されたスローガンだと考えるだけだ。これについて、民度が高まったという分析も出ている。一方先週、行政安全部(行安部)は6・10民主抗争の記念式に参加しなかった。記念式を主管する民主化運動記念事業会が、大統領退陣主張団体を後援したという理由からだった。事業会は、「該当団体が協議なしに政治的内容を含めた。後援金は執行しない」とコメントしたが、行安部はびくともしなかった。6・10民主抗争が2007年国家記念日に制定された後、一貫して行安部が主催し事業会が主管していた記念式の伝統が崩れた。主催者である行安部と与党指導部が参加せず、行事はあっけなく終わった。昨年、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が記念演説を行い、当時の李俊錫(イ・ジュンソク)与党代表が出席したのとは対照的だった。行安部の不参加は、過去の政府で市民団体に与えた補助金の多くが不正執行されたと声を高めた尹大統領や大統領室の考えと無縁ではなさそうだ。問題は、行安部の行事主管は慣行ではなく法規定事項だということだ。大統領令の「各種記念日などに関する規定」によれば、行安部は「6月の民主抗争を記念する行事を行う」と明示されている。もちろん守らなかった場合、罰則条項はない。しかし、法令に定められた業務をしなかったのは厳然たる職務遺棄だ。行事への不参加を、行安部が独自で決めたと考える人は多くないだろう。とにかく、関連団体の些細なミスで主催者が行事に参加しなかったのは自己否定だ。一部の報道を問題視し、記者を空軍1号機に乗せなかったように、「手なずけ」に映りかねない。「偏狭だ」という野党の批判を受けるのも仕方がない。「いわゆる進歩」と「根に持つ政府」は、現行憲法を誕生させた1987年の6・10民主抗争の意味と精神を真に尊重し継承するのか。それなら怪談を前面に掲げたデモも、民主抗争記念式のハプニングも起きなかっただろう。
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2008年5月、筆者は見習い記者を終えた後、社会部に配置され警察を出入りする事件チームの記者になった。正式記者になったという喜びが消える前に、同じ時期に始まった米国産牛肉輸入反対デモの現場を数ヵ月間取材しなければならなかった。
デモ隊は、就任してから数ヶ月も経たない李明博(イ・ミョンバク)大統領に向かって「独裁打倒」、「明博退陣」などのスローガンを叫んだ。民主的手続きによって選出された大統領を否定し、独裁の烙印を押すいわゆる進歩陣営を見ながら苦笑した記憶が生々しい。本当の独裁政権だったら、彼らが「独裁」と勝手に叫ぶこともできなかっただろうという考えからだった。その上、一部は暴力デモに変質していった。「進歩」の辞書的意味とは関係なく、代案がなくそのまま使ったのが進歩陣営という表現だった。
歴史は15年が過ぎて繰り返されている。いわゆる進歩陣営では、日本の福島汚染水の放流問題と関連して似たような主張をし始めた。狂牛病怪談のように汚染水怪談と偽ニュースも流れ始めた。野党は食べ物に敏感な民心を政治的に利用し、一部の団体は街頭で「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領退陣」というスローガンを叫んでいる。
しかし、もはや「独裁」という主張に拍手をする国民はほとんどいない。その大半が誇張されたスローガンだと考えるだけだ。これについて、民度が高まったという分析も出ている。
一方先週、行政安全部(行安部)は6・10民主抗争の記念式に参加しなかった。記念式を主管する民主化運動記念事業会が、大統領退陣主張団体を後援したという理由からだった。事業会は、「該当団体が協議なしに政治的内容を含めた。後援金は執行しない」とコメントしたが、行安部はびくともしなかった。6・10民主抗争が2007年国家記念日に制定された後、一貫して行安部が主催し事業会が主管していた記念式の伝統が崩れた。
主催者である行安部と与党指導部が参加せず、行事はあっけなく終わった。昨年、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が記念演説を行い、当時の李俊錫(イ・ジュンソク)与党代表が出席したのとは対照的だった。
行安部の不参加は、過去の政府で市民団体に与えた補助金の多くが不正執行されたと声を高めた尹大統領や大統領室の考えと無縁ではなさそうだ。問題は、行安部の行事主管は慣行ではなく法規定事項だということだ。大統領令の「各種記念日などに関する規定」によれば、行安部は「6月の民主抗争を記念する行事を行う」と明示されている。もちろん守らなかった場合、罰則条項はない。しかし、法令に定められた業務をしなかったのは厳然たる職務遺棄だ。
行事への不参加を、行安部が独自で決めたと考える人は多くないだろう。とにかく、関連団体の些細なミスで主催者が行事に参加しなかったのは自己否定だ。一部の報道を問題視し、記者を空軍1号機に乗せなかったように、「手なずけ」に映りかねない。「偏狭だ」という野党の批判を受けるのも仕方がない。
「いわゆる進歩」と「根に持つ政府」は、現行憲法を誕生させた1987年の6・10民主抗争の意味と精神を真に尊重し継承するのか。それなら怪談を前面に掲げたデモも、民主抗争記念式のハプニングも起きなかっただろう。
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