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パンデミックが残した歩道上の無法者二輪車

パンデミックが残した歩道上の無法者二輪車

Posted June. 23, 2023 08:19,   

Updated June. 23, 2023 08:19

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いつからか、歩道を歩いていて立ち止まることが多くなった。特に子どもと一緒に歩く時は、非常に神経を使う。どこから飛び出してくるかわからないバイクのためだ。住宅街の歩道でも平気で走行したり、横断歩道を横切るバイクのため、道の端で子どもをつかんで立っていると、不快感と疑問が同時に湧いてくる。止まって気をつけなければならないのは人ではなく、バイクなのではないか。いや、それよりも、そもそもなぜバイクが歩道を走っているのか。

バイクが歩道の上を走行したり、横断歩道を横切ったりすることは、いずれも違法だが、いつの間にか見慣れた風景になった。パンデミック時代のデリバリー文化とクイックコマースが特需を享受し、最も迅速に配達できるバイクの需要が爆発的に増加したためだ。新型コロナウイルス感染拡大の直後の2021年から、デリバリーライダー従事者は40万人を超えた。1年前の20年までは、デリバリーライダーの人員に関する公式統計そのものがなかった。デリバリーライダーは、プラットフォーム労働者の半分程度に相当する10万人と推定されるだけだった。

二輪車の運行がこのように指数関数的に増加する中、関連する交通事故件数も増え続けている。配達時間に追われて無理な運転をするため、バイクが道路上の無法者になってしまったのだ。二輪車の交通事故件数は17年1万4千件だったが、5年間で1万8600件と32%も増加した。同期間、死傷者数は1万7千人から2万4千人と41%増加した。

専属労働者ではないという理由で労災保険法の死角地帯に置かれ、保護を受けられなかったライダーの困難は、最近、労災保険法の改正を通じて一定部分解消された。外部活動が自由になり、配達件数や利用者数も以前より減少傾向にある。しかし、パンデミック時代に定着した二輪車の異常走行文化だけは定着し続けている。

特に、歩道を侵犯するバイクが急増しているのは問題がある現象だ。21年の二輪車の歩道通行摘発は2万522件で、新型コロナウイルス感染拡大以前の19年に比べて70%も増加した。「それでもいい」という安易な認識や思い込みが、ドライバーや歩行者の両方に定着し始めたからではないかと懸念される数値だ。

交通文化は、その社会が優先する価値が何であるかを示す。利便性や効率が悪くても、歩行権と安全権に大きな価値を置いて制度化していく社会が先進国だ。フランスやスイスなど欧州諸国が自動車の都心走行速度を時速30キロ以下と規定したことや、米ニューヨーク市が頻繁に事故の原因となった配達用電動自転車の速度を時速20キロ以下に制限したのは、歩行権を当面の利便性よりも重要視していることを示す事例だ。

韓国の道路文化はすでに人より車の方が便利なように作られている。さらにパンデミックが残した二輪車走行文化のために、歩道でも安全を脅かされるまでになった。文化というものは、一度定着すると変えることが難しくなる。歩道の上に上がった二輪車は、今からでも断固たる措置で正さなければならない。