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過激になった大統領の言葉、洗練された「指導者の言葉」を聞きたい

過激になった大統領の言葉、洗練された「指導者の言葉」を聞きたい

Posted July. 01, 2023 08:21,   

Updated July. 01, 2023 08:21

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尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が最近、韓国自由総連盟の創立記念式で、「反国家勢力が終戦宣言を歌っていた」と発言したことをめぐり、与野党の攻防で政界が騒々しい。最大野党「共に民主党」は、尹大統領が前任の文在寅(ムン・ジェイン)政権と野党を「反国家勢力」と規定したと激しく反発した。大統領室側は、「前政権や特定の政治勢力を狙った発言ではない」としたが、与党「国民の力」は尹大統領の発言を擁護し、野党に対する攻勢に出た。

尹大統領特有の強烈な発言をめぐる論争は昨日今日のことではないが、今回の発言はその波及効果が少なくない。就任当初、尹大統領の大統領室入りの際の囲い込みでの発言が相次いで物議を醸したことがあるが、今回の発言は事前に準備された演説から出たものだ。保守右派を代表する団体の行事で出た発言であることを考慮しても、その程度は行き過ぎであり、前後の脈略上、誰が聞いても前政権を狙ったものと理解しただろう。

尹大統領の発言は、最近の政府関係者の「妄言」とも相まっている。検事出身の朴仁煥(パク・インファン)警察制度発展委員長は、「国民の7割以上が文在寅(前大統領)がスパイであることを知らない」と述べた。与党の一部からも、尹大統領の「反国家勢力」発言が朴氏の極端な発言を肯定することになるのではないかという懸念の声が出ている。今回の次官級人事で極右的なユーチューブ放送をしていた人物が国家公務員である再開発院長に内定したことも軽視できない。

尹大統領は一昨日、各省庁の次官に任命する大統領室秘書官らを呼び、「略奪的な利権カルテルと闘ってほしい」と話したという。大統領室側は、「利権カルテル」打破は2年前、尹大統領が政治参加を宣言したときの構想だと説明した。当時、尹大統領が文政権に対して「権力の私有化を越えて政権延長で国民を略奪しようとしている」と批判しており、前政権の残滓を根絶するための強力な注文という見方が政府内外から出た。

このような一連の発言は、長官・次官級15人の人事を機に本格的に新政権の基調を整え、国政運営にドライブをかけるという尹大統領の意志表現といえる。そこには、事あるごとに足を引っ張る巨大野党に対する絶望感もあるだろう。しかし、それは明確な国政アジェンダと具体的な政策で示されるべきであり、理念的な対立的な言論では党派の分裂を加速させるだけだ。

大統領の強いメッセージは効果も大きいが、副作用も少なくない。「積弊清算」を掲げた前政権の失敗がそれを証明している。尹大統領の発言からは、政権2年目に入り、特に来年の総選挙を前に何か成果を出さなければならないという焦りが感じられるのも事実だ。陣営対決や国民対立を助長する発言は、指導者の言葉ではありえない。さらに、興奮と分裂の言葉は保守の品格にも合わない。