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最長時間対立の末に決まった最低賃金9860ウォン、消耗的な決定構造を見直すべきだ

最長時間対立の末に決まった最低賃金9860ウォン、消耗的な決定構造を見直すべきだ

Posted July. 20, 2023 08:34,   

Updated July. 20, 2023 08:34

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来年度の最低賃金が、1時間当り9860ウォンに決定された。今年より2.5%(240ウォン)引き上げられたもので、月給(月209時間勤務)では206万ウォンの水準だ。「1万ウォン」の壁を越えるかに注目が集まったが、経営難を訴える中小企業・自営業者などの反発で、2021年(1.5%)以降、史上2番目に低い引上げ率に決まった。最低賃金委員会は、15時間を超える徹夜会議の末、昨日午前6時頃、来年の最低賃金をこのように確定した。今年も労使合意に至らず、表決に付した結果だ。

最低賃金の決定の過程は、毎年、対立が激しかった、今年は特に深刻だった。労働界と公益委員間の対立で、初会議から取り消しになり、先月は警察による高所立てこもりの鎮圧に対抗して拘束された労働者委員が解職され、抗議退場などの対立が繰り返された。結局、法廷審議期限をはるかに越えて、史で決定されたのだ。当初「26.9%の引き上げ」と「据え置き」で対抗した労働界と経営界は、この過程で10回も修正案を提示しても合意に至らなかった。

このように労使政の葛藤と対立が毎年繰り返されるのは、最低賃金を審議・議決する構造自体に問題があるためだ。最低賃金委員会は、労働者・使用者・公益委員が9人ずつ27人で構成される。労使がそれぞれ提出した引上げ率をめぐって接点を見出せなければ、公益委員が用意した仲裁案を採決に付して決めるのが慣例となっている。賃金をめぐって利害関係が相反する労使が、消耗的な力比べをせざるを得ないことになる。1988年の制度施行以来、労使間の合意で最低賃金を決めたのは7回、法定審議期限を守ったのが9回だけなのはこのためだ。

さらに、政府が人選した公益委員は、政府政策や基調に合わせて引上げ率を提示し、不確実性を増大させた。前政権の前半の雇用衝撃が深刻な状況でも、公益委員が2年連続で二桁の引き上げ率を押し通したのが端的な例といえる。この2年間は、公益委員が任意に成長率や物価上昇率の予測値など3つの経済指標を土台に引上げ率を提示し、労使双方から反発を買った。合理的で公正な算出基準がないため、今年も採決の結果を巡り、経営界は「負担加重」、労働界は「実質賃金の削減」と反発している。

労使の譲歩なき対立、抗議のための退場、残った委員による投票で決める後進的な決定構造では、来年も対立が繰り返されざるを得ない。先進国の事例を参考にして、消耗的対立を減らしながら合理的で予測可能に最低賃金が決定されるよう、決定体系を見直さなければならない。政治偏りの論議が起きないよう、客観的な基準を設けることも必要だ。雇用環境と労使文化が急変している状況で、35年前に作られた最低賃金決定の体系は寿命を全うした。