皆が皆に怒っている時代
Posted August. 01, 2023 08:33,
Updated August. 01, 2023 08:33
皆が皆に怒っている時代.
August. 01, 2023 08:33.
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今年4月4日(現地時間)、米国のドナルド・トランプ前大統領がニューヨーク・マンハッタンの地方裁判所に出廷した日、目の前に広がる裁判所前の公園の光景は興味津々だった。ニューヨーク警察(NYPD)が設置した柵は、公園を斜めに横切っていた。垣根の両側では、反トランプと親トランプ陣営の人々が柵に詰めかかって互いに叫んでいた。やはり互いに相手の言うことは聞かなかった。柵の両側を行き来しながら人々に会った。双方とも自分は愛国者なのに、相手が国を滅ぼそうとしていると声を高めた。一人のトランプ支持者は、メディアに対する不信と不満を爆発させ、「私の発言は匿名にしてほしい。FBI(連邦捜査局)から追い詰められるから」と話した。両方に分かれたこの日の公園の光景は、米国で広がる「万人の万人に対する怒り」を視覚化した感じだった。自分が属している集団ではない他の集団に対する敵意は、ますます大きくなっている。支持する政党、妊娠中絶、性アイデンティティ、人種を中心にした「文化戦争」はもちろん、男女、MZ世代(ミレニアル+Z世代)とベビーブーマー(1946~1964年の生まれ)間の対立も熱い。アメリカ合衆国ではなく、「未分裂国(Devided States of America)」という言葉が出てくるほどだ。先日ニューヨークでは、「自転車のカレン」の議論がおきた。カレンとは、韓国の「キム女史」や「マムチュン(子どもが悪いことをしても叱らない母親)」のように、中年の白人女性を卑下する用語だ。ソーシャルメディアにアップロードされた90秒の映像で、ある白人の妊婦が電気自転車のレンタルを巡り、何人かの10代の黒人と揉め事をして、「助けてほしい」と叫ぶ。人種の枠から見れば、白人が黒人の自転車を奪って被害者になりすまし、黒人を犯罪者扱いしたのだ。男女という枠組みでは、男性が妊婦を圧迫している様子だ。大衆は人種フレームに手を挙げ、その妊婦を「人種差別主義者のカレン」と烙印を押した。その後、反転が起きた。白人女性が先に自転車を借りたが、青少年たちが奪おうとした事実を立証する領収書が出たのだ。米紙ニューヨークタイムズ(NYT)のコラムニストも、「女性側の証拠がもう少し信憑性があるように見える」として、無分別な「カレンの烙印」を押すことを警戒した。実状を把握できない短い映像だけで憎まなければならない対象を決め、見たいものだけを見ようとする人々が犠牲者を作る典型的な事例だ。妥協と仲裁をしなければならない政治は票に目がくらみ、かえって対立と怒りを煽る。すべての事案が政治議題に変貌し、気候変動やエネルギー政策まで進歩と保守対決の場となった。電気自動車やツイッターも、政治的性向が疑われる。来年の大統領選挙を控えた米国のいくつかの州は、「禁止図書関連の図書館司書の処罰」や「第3の性の保護」といった理念対決で、鮮明性を浮き彫りにする法案を発表している。対立と議論が政治を経てさらに増幅する悪循環は、民主主義を後退させることにとどまらず、結婚率も落とす。米週刊誌「アトランティック」によると、若者たちはデートアプリで政治性向を見て相手を選ぶ。2010年以降、女性は進歩性向に、男性は保守性向に移動し、進歩は女性1人当たり男性が0.6人、保守は男性1人当たり女性が0.6人にとどまり、恋愛すら難しくなっている。アトランティックは、韓国を洩らさなかった。「結婚率と出産率が史上最低の韓国で、男女のイデオロギーの格差はさらに大きい」という。なぜ互いに異なる集団に怒り、相手を嘲弄し、嫌悪する言葉が世界的現象にまでなったのか。政治と経済の二極化やソーシャルメディアの影響をはじめ、その理由として様々なことを挙げる。診断は難しく、解決はなおさら難しい。だからといって、手放すには払わなければならない代価が大きすぎる。
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今年4月4日(現地時間)、米国のドナルド・トランプ前大統領がニューヨーク・マンハッタンの地方裁判所に出廷した日、目の前に広がる裁判所前の公園の光景は興味津々だった。ニューヨーク警察(NYPD)が設置した柵は、公園を斜めに横切っていた。垣根の両側では、反トランプと親トランプ陣営の人々が柵に詰めかかって互いに叫んでいた。やはり互いに相手の言うことは聞かなかった。
柵の両側を行き来しながら人々に会った。双方とも自分は愛国者なのに、相手が国を滅ぼそうとしていると声を高めた。一人のトランプ支持者は、メディアに対する不信と不満を爆発させ、「私の発言は匿名にしてほしい。FBI(連邦捜査局)から追い詰められるから」と話した。
両方に分かれたこの日の公園の光景は、米国で広がる「万人の万人に対する怒り」を視覚化した感じだった。自分が属している集団ではない他の集団に対する敵意は、ますます大きくなっている。支持する政党、妊娠中絶、性アイデンティティ、人種を中心にした「文化戦争」はもちろん、男女、MZ世代(ミレニアル+Z世代)とベビーブーマー(1946~1964年の生まれ)間の対立も熱い。アメリカ合衆国ではなく、「未分裂国(Devided States of America)」という言葉が出てくるほどだ。
先日ニューヨークでは、「自転車のカレン」の議論がおきた。カレンとは、韓国の「キム女史」や「マムチュン(子どもが悪いことをしても叱らない母親)」のように、中年の白人女性を卑下する用語だ。ソーシャルメディアにアップロードされた90秒の映像で、ある白人の妊婦が電気自転車のレンタルを巡り、何人かの10代の黒人と揉め事をして、「助けてほしい」と叫ぶ。人種の枠から見れば、白人が黒人の自転車を奪って被害者になりすまし、黒人を犯罪者扱いしたのだ。男女という枠組みでは、男性が妊婦を圧迫している様子だ。大衆は人種フレームに手を挙げ、その妊婦を「人種差別主義者のカレン」と烙印を押した。
その後、反転が起きた。白人女性が先に自転車を借りたが、青少年たちが奪おうとした事実を立証する領収書が出たのだ。米紙ニューヨークタイムズ(NYT)のコラムニストも、「女性側の証拠がもう少し信憑性があるように見える」として、無分別な「カレンの烙印」を押すことを警戒した。実状を把握できない短い映像だけで憎まなければならない対象を決め、見たいものだけを見ようとする人々が犠牲者を作る典型的な事例だ。
妥協と仲裁をしなければならない政治は票に目がくらみ、かえって対立と怒りを煽る。すべての事案が政治議題に変貌し、気候変動やエネルギー政策まで進歩と保守対決の場となった。電気自動車やツイッターも、政治的性向が疑われる。来年の大統領選挙を控えた米国のいくつかの州は、「禁止図書関連の図書館司書の処罰」や「第3の性の保護」といった理念対決で、鮮明性を浮き彫りにする法案を発表している。
対立と議論が政治を経てさらに増幅する悪循環は、民主主義を後退させることにとどまらず、結婚率も落とす。米週刊誌「アトランティック」によると、若者たちはデートアプリで政治性向を見て相手を選ぶ。2010年以降、女性は進歩性向に、男性は保守性向に移動し、進歩は女性1人当たり男性が0.6人、保守は男性1人当たり女性が0.6人にとどまり、恋愛すら難しくなっている。アトランティックは、韓国を洩らさなかった。「結婚率と出産率が史上最低の韓国で、男女のイデオロギーの格差はさらに大きい」という。
なぜ互いに異なる集団に怒り、相手を嘲弄し、嫌悪する言葉が世界的現象にまでなったのか。政治と経済の二極化やソーシャルメディアの影響をはじめ、その理由として様々なことを挙げる。診断は難しく、解決はなおさら難しい。だからといって、手放すには払わなければならない代価が大きすぎる。
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