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教師に私的な苦情拒否権と相談中断権…教権正常化の転機にすべきだ

教師に私的な苦情拒否権と相談中断権…教権正常化の転機にすべきだ

Posted August. 15, 2023 08:29,   

Updated August. 15, 2023 08:29

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教育部が14日、「教権回復及び保護強化案」の試案を公開した。9月1日から小・中・高校の保護者が教師に直接連絡することを禁止し、教頭や行政室長などで構成される「苦情対応チーム」が担当するというのが主な内容だ。保護者が教師の携帯電話やソーシャルメディア(SNS)で苦情を申し立てた場合、教師は対応を拒否する権利を持ち、相談中に保護者が暴言や脅迫をすれば教師が相談を中断することができるという内容も盛り込まれた。先月、ソウル瑞草区(ソチョク)の小学校1年生の教師の死亡事件後、教権の強化を求める声が噴出し、政府レベルの対策を打ち出したのだ。

教師たちには、時折、携帯電話にかかってくる保護者の電話が大きなストレスだ。そのうえ、学業に関することではなく、教師のプライベートについて尋ねたり、怒鳴りつけたり、暴言を吐くなど、理不尽なケースも少なくないという。これでは教師が本業である生徒を教えることに集中することが難しい。教育部の案通り、苦情は学校レベルで対応し、必要な場合のみ事前予約を経て開かれた相談室で保護者と教師が会うことができるようにすれば、教師の負担を大幅に減らすことができるだろう。

無分別な児童虐待の通報も教権崩壊の主な要因だ。教育活動侵害件数は2020年の1197件から昨年3035件に急増したが、教師の半数以上は授業に支障が生じても「我慢する」という。積極的に指導に出た場合、児童虐待の疑いで職位を解かれたり、捜査を受けたりする可能性があるためだ。教師が授業時間に教材を持ってこない生徒に持ってくるように言ったことも児童虐待で通報される。手足が縛られた教師が授業をきちんと行うことができるだろうか。教育活動を侵害した生徒と被害教師を直ちに分離し、教師の正当な生活指導は児童虐待の処罰対象から除外するよう関連法の改正を急がなければならない。

ただし、教権強化の過程で中心軸が一方に片寄らないよう政策を精巧に推進する必要がある。教師との接触を制限してしまうと、保護者が必要な意見を伝える道すら閉ざされる可能性があるため、意思疎通強化策も共に設けなければならない。重大な教権侵害については、学校生活記録簿に記載する措置も訴訟や紛争拡大につながる恐れがあるため、慎重に取り扱うべき問題だ。教権強化の究極の目標は、学校の正常化と公教育の復元だ。学校の主体である教師、生徒、保護者の間で権限と義務のバランスが見出されてこそ可能なことだ。