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金利が上がっても米経済はなぜ良いのか

Posted August. 22, 2023 08:38,   

Updated August. 22, 2023 08:38

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先月、米サンフランシスコ連邦準備銀行(連銀)のメアリー・デイリー総裁の懇談会の現場を訪れた。やはり、最近、経済フォーラムの定番の質問が出た。

「基準金利をあれほど引き上げたのに、なぜ経済はいいのですか」

デイリー総裁は予想したかのように笑いながら、「今後多くの若い学者たちがその答えを探すために、研究をしていかなければならないだろう」と話した。一言で言えば、米経済学者たちも戸惑っているという意味だ。

米中央銀行の連邦準備制度(FRB)の強力な緊縮で、現在の米基準金利は5.25~5.50%まで上がった。22年ぶりの最高水準だ。このように金利を引き上げれば、企業と家計は投資と消費を減らし、経済は萎縮するというのが常識だ。FRBも今年末、軽い景気低迷を予測したことがある。

ところが、これはどういうことか。「回復力(resiliency)」という言葉が、今年の単語ともいえるほど多く聞こえる。ゴムひもをぴんと引っ張っても元の状態に戻るように、いくら金利を上げて銀行危機が勃発しても、米経済は成長している。アトランタ連銀の今年第3四半期(7~9月)の米経済成長率の予測値はなんと5.8%(年率)だ。FRBも先月、景気低迷の見通しを撤回した。

昨年末、アマゾンのジェフ・ベゾス創業者は、「テレビや自動車のような大規模な購入を先送りし、経済的困難に備えなければならない」と助言したが、消費者は鼻で笑っている。テレビより高いポップ歌手テイラー・スウィフトの全米ツアーコンサートのチケットは売り切れの行列だった。「サッカーの神様」リオネル・メッシが、メジャーリーグサッカ-(MLS)試合のために今週、ニューヨークに来る。試合のチケット価格は、1万ドル(1341万ウォン)まで高騰した。

米国はなぜだろうか。デイリー総裁は、新型コロナのパンデミックの影響だと解釈した。消費者は、パンデミック期間中、米政府から受け取った災害支援金を家に閉じこもって過ごすため、使うこともできず貯蓄した。やっとコンサートやサッカー試合、外食、旅行に嵐のようにお金を使って、成長率を支えているという。一部からは、エネルギーの転換で投資が急増したという分析も出ている。

世界最大経済大国の成長は、韓国経済に朗報でなければならない。しかし、この常識も以前ほど通用していない。米消費の狂風は、テレビやスマートフォンの代わりにコンサートや宿泊費に集中している。物から「経験」に消費のパターンが変われば、製造業中心の韓国輸出は居場所が減る。

「狂風消費」は、FRBの緊縮長期化を誘導する。最近、米国の長期国債金利が16年ぶりに最高水準に発作を起こすかのように上がった。これは米ウォール街の「中立金利(Rスター)」の論争を反映している。中立金利とは、景気を刺激も抑制もしない均衡点を意味する。米経済が5%台の基準金利に耐えるのは、潜在成長率自体が高くなったためであり、そのため中立金利も上がったという主張が説得力を得ている。この場合、インフレがFRBの目標値(2%台)まで下がっても、パンデミック以前の水準に金利を下げることはできない。景気(物価)を過熱させる恐れがあるからだ。

それで20年間の低金利とは「本当にさよなら」と言って、米長期市場金利が高騰したのだ。韓国時間で24日夜、FRBのジェローム・パウエル議長が、中央銀行の年次シンポジウムのジャクソンホールミーティングでの演説で何と診断するか、世界の注目が集まる理由だ。

米経済を見守るほど、もどかしい気持ちだ。米景気が悪ければ韓国輸出が心配、良ければ金利高による為替相場が心配だ。FRBの強力な緊縮の下では、いずれにせよ不確実性が大きい。泣き面に蜂で、中国不動産の危機まで重なっている。一刻も安心できない薄氷だ。