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与野党、「断食」対「食リレー」…国民の安心は後回し

与野党、「断食」対「食リレー」…国民の安心は後回し

Posted September. 04, 2023 08:48,   

Updated September. 04, 2023 08:48

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福島第一原発の汚染水の海洋放出をめぐる与野党の政争が「断食」対「食リレー」の対決に流れている。

最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は3日、断食4日目に入った。李氏は先月31日、就任1年記者会見で「無期限断食」を宣言した。断食を解く条件として、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に「核汚染水の海洋放出に反対する立場を表明し、国際海洋法廷に提訴する」とともに「民生破壊・民主主義の毀損に対する国民への謝罪」、「全面的な国政刷新と内閣改造の断行」を提示した。これに先立ち、6月にも同党の尹才鉀(ユン・ジェガプ)、禹元植(ウ・ウォンシク)議員が汚染水に対する座り込みの抗議活動を行った。

李氏は断食宣言の日、「日本の核廃水投棄テロに、抵抗はおろか同調して共犯者になった」と政府を非難した。李氏の記者会見文は、「大韓民国が崩壊しつつある」と不安感を「増幅」させる主張が溢れていた。検察が4日に李氏の出席を要求し、しかも国政監査と民生法案処理などすべきことが山積している9月定例国会の開始の前日に断食を開始したため、「防弾用断食」という批判が噴出した。

逆に与党「国民の力」は、「食リレー」を続けている。「共に民主党」が座り込みで汚染水反対の世論誘導に乗り出したため、食べることで水産物の安全性を強調することが狙いだ。一言で言えば、「食べても死なない」というメッセージだ。「国民の力」は先月29日、1泊2日の研鑽会の間、水産物を中心に食べた。2次会も刺身店に行った。尹在玉(ユン・ジェオク)代表はこの席で、「私たちが積極的に(水産物の)消費を促進し、国民を安心させることを『もうやめてもいい』と言われるまで続ける」と話した。朴大出(パク・デチュル)政策委員長は、「李氏がこのような所に来て、(水産物を)食べろと言ってほしい」と話した。

「国民の力」は、「科学政党」を標榜し、「怪談」を排斥し、安全というメッセージも繰り返し伝えている。その核心に「汚染水」という用語を日本式表現である「汚染処理水」に公式化する動きがある。「汚染されたものを処理した水」という主張だ。このような用語変更がすぐに国民に伝わるかも疑問だ。高麗(コリョ)大学心理学科のホ・テギュン教授は、過去にある番組で、2008年の狂牛病(牛海綿状脳症・BSE)事態を振り返り、「政府が狂牛病にかかる正確な確率を根拠に国民と意思疎通しようとしたが、国民は『不安なのに、どうして今、数字を持ち出すのか』という反応を示した」という趣旨の発言をした。

国民不安の増幅と抑制という極端な岐路で、与野党の攻防だけが激化している。李氏は3日、政府・与党の「汚染処理水」変更検討に対し、「汚染水を汚染水と呼べないように創氏改名する奇怪な言葉」と「親日」フレームで攻撃した。逆に「国民の力」は、李氏の「逮捕同意案不成立を狙ったもの」とし、「国民の不安と引き換えにした防弾野外集会」と非難した。

結局、この地には不安な国民だけが残された。1日に発表された韓国ギャラップの調査で、福島原発の海洋放流で、海と水産物が汚染されることを心配するという回答は75%で、心配しないという回答は22%だった。野党は科学的根拠は完全に無視し、与党は科学的な安全だけを口にしているが、安全と安心は別問題だ。与野党ともに、不安な国民を自党に有利な政治戦略に活用しようとする考えから止めなければならない。