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フィードバックを勧める社会で「苦い言葉」も甘くするには

フィードバックを勧める社会で「苦い言葉」も甘くするには

Posted September. 09, 2023 08:29,   

Updated September. 09, 2023 08:29

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女性の役員と初めて働くことになった大企業職員のA氏は、内心、彼女に対し男性上司とは違う「暖かいリーダーシップ」を期待した。しかし、断固たる態度で過ちを指摘する上司との意思疎通の過程で、たびたび心を傷つけたりもした。事実、彼女が他の男性上司と比較して「標準偏差」から外れた言動をしたことはなかった。それなのに、なぜもっと攻撃的に感じられるのだろうか。

米国のメディアグループで働く50代後半の作家のB氏は、自分のプロジェクトに対するフィードバックを受ける席で、20代の後輩作家から否定的な評価を受けた。息子と同年代の職員からの公の指摘に、B氏は不快な様子を隠すことができなかった。指摘の内容自体は一理あったが、伝え方が気に入らなかったためだ。

最初の事例は、知人から聞いた韓国企業内の様子、2番目は、HBR(ハーバードビジネスレビュー)の最新号に紹介された米企業で起きたエピソードだ。

最近、多くの組織では、このようにフィードバックのために起きるトラブルが、さらに頻繁に目撃されている。これは企業現場に、2つの状況がかみ合っているためだ。まずこの5年間、ネットフリックスなどの革新企業が取り入れた「急進的率直さ(radical candor)」が、組織文化の美徳として浮上した。一方、MeToo運動や人種差別反対、水平的組織文化の拡散など、複合的な理由で多様性が時代的情緒を反映する必須要素として浮上した。

このような変化の中でフィードバックの重要性が強調され始めたが、これによって互いに傷つく可能性も高くなっている。理由を問わず、指摘を受けるのは、ひとまず愉快な経験ではないからだ。相手の心を推し量る建設的なフィードバックのためには、まず多様性によるお互いの違いについて明確に理解しなければならない。

例えば、先に紹介したA氏の事例は、性別による固定観念が働いた可能性がある。2020年のスタンフォード大学の研究によると、男性と女性が同じように率直なフィードバックを伝える時、女性がより攻撃的な人として認識される可能性が高かった。

一方、男性は、女性に要請されていない助言をする確率が、女性が男性に助言をする確率より5倍も高かった。「マンバイジング(男性と助言の合成語)」と呼ばれるこの行動は、妙な権力関係を形成し、女性同僚を不快にさせることが分かった。また、上司が自分より年上の部下の職員に対し、否定的なフィードバックをする場合、「役割転倒」という不調和の心理を刺激し、職員の幸福度を大きく下げることが明らかになった。

多様性の違いを認知したなら、人間の努力ではなく制度の力で発生可能な誤解を克服しなければならないと専門家たちは指摘する。インシアード大学のエリン・メイヤー教授は、「フィードバックは必ず定期的かつ双方向にやり取りしなければならない」と強調した。メイヤー教授は、「フィードバックを交わす席を定例化してこそ、組織員はフィードバックを偉そうな顔や攻撃ではなく、業務の必須要素と認識することになる」とし、「フィードバックの内容もまた得意なこと一つ、改善点一つなどで割合を合わせて提示させてこそ、対立の余地が少ない」と話した。

いつのまにか到来したフィードバックを勧める時代。苦いフィードバックも、甘く伝えられるように助ける知恵と組織内の制度策定に関心を持つべき時だ。