ソウル龍山区(ヨンサング)の国立中央博物館で開かれている英ナショナルギャラリー名画展「巨匠の視線、人に向かう」を観覧した人が、20日で30万人を超えた。最近開かれている展示の中で、断然「最もホットな展示」に挙げられ、今年6月2日に開幕してから111日間で累積観客数が30万人を突破した。
●一点一点が名作
ナショナルギャラリー名画展は、展示開催後、1日平均2700人が訪れている。今のような傾向が続けば、国立中央博物館が開催した特別展示の中で、2016年の「エジプト宝物展-エジプトのミイラが韓国に来る」(37万人)以来、最も多くの観客が訪れた展示になる見通しだ。特に今回の展示は、2016年とは異なり、パンデミック後、毎回観覧人数を制限している点を考慮すれば、膨大な関心が集まっている。
20日、ソン・ユイ学芸研究士によると、観客はカラヴァッジョの「トカゲに噛まれた少年」、トーマス・ローレンスの「マスター・チャールズ・ウィリアム・ラムトン(レッドボーイ)」に良い反応を見せている。レンブラントの「63歳の自画像」とクロード・モネの「アヤメ」、フィンセント・ファン・ゴッホの「草と蝶」も人気作品だ。ソン学芸研究士は、「全体作品数は50点余りで、一点一点が巨匠の作品であるため、皆くまなく愛されている」と付け加えた。
その中でも、「レッドボーイ」は韓国の観覧客に特に愛されている作品だ。18世紀末、英国で肖像画家として権威があったローレンスにより、当時ダラム伯爵の息子が6、7歳の時に依頼を受けて描かれた。この時期のアカデミー画風の絶頂を示す作品で、1967年にはイギリスで切手化された。絵の中の少年が13歳で結核により亡くなったという話も、作品にもの悲しさを加える。
●ナショナルギャラリーの歴史映像も目を引く
作品ほど良い反応を得るもう一つの主人公は、会場で上映される映像「英国ナショナルギャラリーの始まりと一点展示会」だ。この映像は、英国でナショナルギャラリーが設立された事情と公共美術館としての役割を、圧縮的に盛り込んでいる。
ナショナルギャラリーは、フランスで市民革命が起き、1793年にルーブル宮殿が博物館になったことに影響を受けて設立された。英国でも王室や貴族ではなく、皆のための公共美術館が必要だという共感が形成され、1824年に議会が設立を推進した。
ただ、王政が崩壊したフランスと違って、王と貴族が依然として権力を持っていた英国では、王室所蔵品を強制的に公共資産にすることはできなかった。そこで銀行家だったジョン・アンガースタイン(1735~1823)の所蔵品38点を購入し、彼の家を借りて美術館を作った。その後、1838年になってようやく、今日のロンドンのトラファルガー広場の建物に引っ越した。
第2次世界大戦が起きた時は「一点展示会」を開き、国民を慰めたエピソードも有名だ。ドイツ軍の英国侵攻が近づいた時、ナショナルギャラリーは、所蔵品すべてを田舎の鉱山に用意した収蔵庫に移した。
その後、がらんとした美術館で音楽会を開いたが、絵のない美術館で物足りなさを感じた人々が作品展示を要請する。これに対し美術館は、田舎の鉱山から毎月作品を1点ずつを持ってきて展示し、これを見るために、毎日数千人が美術館を訪れた。この「一点展示会」にかかった作品が、3点も国内展示にも出品された。クロード・ロランの「聖ウルスラの乗船」、ポッライオーロの「アポロンとダフネ」、レンブラントの「63歳の自画像」だ。展示は10月9日まで。
金民 kimmin@donga.com