Go to contents

「みにくいアヒルの子」でも大丈夫、作家アンデルセンが与える慰め

「みにくいアヒルの子」でも大丈夫、作家アンデルセンが与える慰め

Posted September. 26, 2023 08:25,   

Updated September. 26, 2023 08:25

한국어

親になって子どもを育て、「人生2回目」を生きていると思うことがよくある。しばらく忘れていた童謡の歌詞を数十年ぶりに思い出して熱唱したり、日常生活で何気なく使っていたハングルの創製の原理を改めて分析して子どもに文字を教えたりする時など。そのたびに、まるでタイムマシーンに乗って幼児時代に戻り、しばらく忘れていたことを改めて繰り返し学習するような感覚を覚える。

時代を超えて愛される古典の力は、子どもの世界でも有効だ。かつて子どもが毎晩寝る前に必ず読んでいた本は、「イソップ物語」シリーズや「アンデルセン童話」だった。大人になって再び触れた童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805~75)の作品とイソップ物語は、教訓を通じて様々なことを考えさせる魅力がある。名作という修飾語が付くのもうなずける。

その代表的な作品がアンデルセンの「みにくいアヒルの子」だ。周知のように、アヒルの群れの中であまりにも姿が違うために嫌われていたアヒルが、実は美しい白鳥だったという内容だ。この童話が改めて特別に感じられたのは、アンデルセン自身の話が溶け込んだ作品だという点だった。

デンマークのオーゼンセで貧しい靴磨きの息子として生まれたアンデルセンの本来の夢は、演劇俳優だった。貧しい家庭環境のため正規の教育を受けられなかったアンデルセンは、不正確な発音などを理由に俳優として成功できなかった。紆余曲折を経てラテン語学校に入り文学を学んだ後、作家という新しい夢を抱き、童話や小説を発表するが、誤った文法や誤字脱字などで文学界では認められなかった。活動初期に文学界から排斥される自分の姿を例えた作品が「みにくいアヒルの子」だった。

アンデルセンは「みにくいアヒルの子」だけでなく、貧しく不幸だった自分の母親をモデルにした「マッチ売りの少女」、叶わなかった自分の愛をモチーフにした「人魚姫」など様々な名作を生み出した。アンデルセンはもうこの世にはいないが、これらの作品は何百年もの間、世界中の子どもたちが愛読する名作童話として残っている。文法の間違いや誤字脱字が、作品が持つメッセージ力を弱めることはなかった。

誰もが人生で「みにくいアヒルの子」になった経験が一度はあるのではないだろうか。より良い職場を求めて転職したが、新しい組織に適応する過程で思いがけず従業員たちの嫌がらせで涙を流したことがある人もいるだろうし、多少「目立つ」という理由で周囲から歓迎されない人もいるだろう。また、「就職はするのか」「結婚はいつするのか」といった親戚の「おせっかい発言」に傷つく人もいるだろう。「みにくいアヒルの子」を再び読んで、困った状況になっても、他人の視線で規定された「みにくいアヒルの子」の段階で躊躇しないでほしいと思った。見事に立ち上がり、白鳥の羽ばたきをすることができるように。不惑の年になっても、子どものための童話から人生を学ぶ。