Go to contents

驚くこともないアジア大会で見せた北朝鮮の「豹変」

驚くこともないアジア大会で見せた北朝鮮の「豹変」

Posted October. 04, 2023 08:41,   

Updated October. 04, 2023 08:41

한국어

中国の杭州アジア大会で見せた北朝鮮代表団の行動は、2018年のインドネシア・ジャカルタ・パレンバン大会の南北合同チームの思い出を持っている人たちには違和感を感じさせる。合同チームのユニフォームを着て抱き合って喜んだ彼らが、5年ぶりに別人になった。射撃で韓国選手に負けて銀メダルにとどまった北朝鮮選手たちは、表彰台で一緒に写真すら撮るのを嫌がった。5年前、同じチームでプレーした北朝鮮の女子バスケットボールの選手たちは、姉や弟だった韓国選手たちに冷たくそっぽを向いた。北朝鮮選手団の関係者は、突然、記者団に「正式な国号で呼んでほしい」と意地悪をした。そして、北朝鮮の住民に流したテレビ中継映像では、私たちのことを「傀儡」と称した。

北朝鮮の居直りは意図的なものだから、我々としては寂しがる必要もない。5年前、米朝交渉の局面で開かれた直前大会での「北朝鮮」のイメージを消そうとする扇動工作であり、国際的に注目が集まるアジア大会で南北が分かれたことを強調することで、韓半島の緊張状況を世界に周知させようとする宣伝術策なのだ。われわれに対して「北側」ではなく正式国号を使ってほしいと要求するのは、今は同じ民族ではなく「他人」と考えてくれという脅迫性の設定だ。彼らにとって血を分けた民族の概念は、金正恩(キム・ジョンウン)政権が支配する彼らの「祖国」より低い下位概念であり、宣伝扇動のためには古靴を捨てるようにいつでも捨てられる戦術的道具に過ぎない。

同じ民族同士でここまでしなければならないのかと思うが、振り返ってみれば彼らはそうだった。北朝鮮の核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射で韓半島の緊張が高まった2017年、ニューヨーク特派員に赴任して会った北朝鮮の外交官たちは、韓国記者たちの簡単な質問にも口を開かなかった氷のような人々だった。2018年の米朝交渉の局面では、指令でも受けたかのように態度が変わった。まず声をかけて帰任日や家族関係のような個人的な質問も投げかけた。北朝鮮のキム・ソン国連大使は、韓国の団体が主催した行事に参加し、ワイングラスを傾けた。米朝交渉が決裂すると、彼らの表情は再び固くなった。1年ぶりに言葉すら交わしたくない仇のように接してから、優しい血肉に出会ったように居直れるのが彼らだ。

北朝鮮の勝手な行動の裏には、変わらない真心もある。先月26日(現地時間)、国連駐在北朝鮮代表部所属のキム・インチョル書記官は、国連総会の会場で「犬は吠えても馬車は行く(The dog barks, but the caravan moves on)」とし、「脅威に断固として対応し、やるべきことを続ける」と発言した。核とICBMの開発を止めないという脅威だった。「犬は吠えても…」という表現は、1993年、北朝鮮の核不拡散条約(NPT)からの離脱と関連した米朝交渉の場で、北朝鮮側代表の姜錫柱(カン・ソクジュ)が、米代表のロバート・ガルーチ氏に対して使った言葉だが、核実験とICBMの発射で米朝間の対立がピークに達した時の2017年にも登場した。当時、トランプ米大統領が金正恩氏のことを「ロケットマン」と称し、「北朝鮮を完全に破壊できる」と警告すると、国連総会での演説のためにニューヨークを訪問した北朝鮮のリ・ヨンホ外相は、記者団の前に立って、「『犬が吠えても行列は行く』という言葉がある。犬の鳴き声で私たちを驚かせようと思ったなら、それこそ犬の夢だ」と応酬した。

北朝鮮が30年以上、「犬が吠えても馬車は行く」としてマイウェイを固守できるように時間を稼いだのは、政権が変わる度に右往左往する韓米の対北朝鮮政策だった。来年11月の米大統領選挙で、韓米同盟を金銭的価値に換算して問い詰めるトランプ氏の復帰可能性が出ている状況下で、北朝鮮がロシアと密着し、2017年の韓半島の緊張状態に時計の針を戻そうとするのは、目論見があってのことだろう。秋になるとヒョウの毛が美しく変わり「豹変」と言うが、必要ならば民族も古い靴のように捨ててしまう北の豹変は全く美しくない。