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北朝鮮、先月に核兵器用プルトニウム抽出の可能性

北朝鮮、先月に核兵器用プルトニウム抽出の可能性

Posted October. 05, 2023 09:05,   

Updated October. 05, 2023 09:05

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最近、北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)核施設内の5メガワット原子炉の活動が一時停止したことを韓米情報当局が把握したことが分かった。韓米当局は、核兵器用プルトニウム(PU)を抽出するための使用済み燃料棒の再処理作業の情況と見て、関連動向を監視している。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が今年初めから、核弾頭の幾何級数的な増加と兵器級核物質の生産拡大を指示してきたので、そのための再処理作業が本格化するのではないかという観測も流れている。

4日、東亜(トンア)日報の取材を総合すると、韓米当局は様々な偵察兵器を通じて先月下旬頃、寧辺の5メガワット原子炉の稼働が一時停止したことを把握した。この原子炉は2021年7月に再稼働が確認された後、活発な稼働が米偵察衛星で捉えられたが、9月下旬に入ってこのような動きが止まったということだ。

政府消息筋は、「韓米当局は、兵器級プルトニウムを得るための再処理作業の兆候である可能性があるものと見ている」と伝えた。再処理作業は、原子炉の運転を数週間以上停止した後、原子炉内の使用済み燃料棒を取り出し、放射化学実験室に移して、化学工程を経て兵器級プルトニウムを抽出するという手順で行われる。政府関係者は電話取材に対して、「北朝鮮が近く核実験を行う可能性を排除していない」との認識を示した。

寧辺核施設の5メガワット原子炉は、北朝鮮の唯一の兵器級プルトニウム生産拠点。原子炉活動を一時停止した後、使用済み燃料棒を取り出して再処理過程を経れば、高純度の兵器級プルトニウムを得ることができる。専門家らは、寧辺5メガワット原子炉の使用済み核燃料で毎年6~8キロの兵器級プルトニウムを確保できると見ている。21年7月から再稼働を開始し、約2年稼働を続けてきたので、12~16キロの兵器級プルトニウムを得ることができるということだ。これは、第2次世界大戦時に日本の広島に投下された15キロトン(1キロトンはTNT爆薬1千トンの破壊力)級の核爆弾を3~4個作ることができる量だ。北朝鮮の核技術が高度化したことを考えると、実際にはもっと多くの核弾頭を製造する可能性も否定できない。

北朝鮮では先月4月にも寧辺の5メガワット原子炉が数週間にわたって稼働停止した情況が民間衛星に捉えられ、当時も再処理準備の兆候という観測が流れた。5メガワット原子炉は過去にも活動を停止した前例があるが、通常、数日間停止した時は施設の維持・補修のためと解釈された。しかし、数週間以上運転が停止すると、原子炉から使用済み燃料棒を取り出して再処理するための兆候である可能性に重きが置かれる。

5メガワット原子炉の相次ぐ一時的な稼働停止は、北朝鮮が核弾頭用の核物質の生産に拍車をかけているという証拠ともいえる。別の政府消息筋は、「正恩氏が昨年末に核弾頭の保有量の幾何級数的な増強を指示し、今年3月にも核物質の生産拡大を繰り返し指示したため、兵器級プルトニウムや高濃縮ウラン(HEU)などの核物質を最大限抽出しなければならない状況」と強調した。寧辺核施設などに設置した遠心分離機でHEUの大規模増産を推進するとともに、5メガワット原子炉の使用済み燃料棒を利用した再処理作業が差し迫っているか、すでに進行中である可能性が高いということだ。

最近、核武力の高度化を憲法に詳細に明記した北朝鮮が、核物質生産の兆候まで韓国と米国に公開したのは、「韓米日」対「中朝ロ」の新冷戦の流れに便乗して、露骨に核武力強化に乗り出すという狙いがあるものとみられる。政府当局者は、「(今年2回失敗した)軍事偵察衛星に対する確実な技術保証が行われない場合、北朝鮮が近く核実験など強力な挑発を通じて局面転換を図る可能性も排除できない」と伝えた。


申晋宇 niceshin@donga.com