イスラム組織ハマスのガザ地区内の本拠地であるガザシティへのイスラエル軍の侵攻が目前に迫っている。早ければ2日にも侵攻するものとみられる。また、ガザ地区の地下壕破壊に拍車をかけ、激しい市街戦が迫っていることを示唆した。
ガザ地区最大規模の難民キャンプであるジャバリアキャンプをイスラエル軍が2日連続で空爆し、死傷者が増えたことで国際社会の批判が強まる中、バイデン米大統領は戦闘の一時停止が必要との考えを明らかにした。
●「ガザシティ進攻目前」
イスラエル軍のガザ地区作戦指揮官であるイツィク・コーヘン准将は1日、記者会見で、「イスラエルの兵力はガザ地区の奥深く、ガザシティの入り口にいる」と明らかにした。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官も、「地上部隊と空軍の合同作戦でハマスの防衛線を破った」と述べた。
イスラエルのガラント国防相は同日、ガザ地区の分離壁の外に駐留している部隊を訪れ、「ハマスの地下壕を攻撃し、テロリストを地下から追い出している」とし、「ハマスの奇襲攻撃を受けた先月7日以降、ガザ地区に砲弾、ミサイルなどを1万発以上投下した。ハマスは死ぬか、無条件降伏しかない」と述べた。
先月27日に限定的な地上戦を開始して以来、ガザ地区最大の都市ガザシティへの進撃速度は予想より速い。イスラエル紙ハアレツは、「空軍の事前爆撃でハマスの抵抗を遮断したため」と分析した。ただ、イスラエル軍の戦死者も同日までに16人発生した。イスラエルのヘルジ・ハレヴィ陸軍参謀総長は、「重く苦しい代償は避けられない。最後まで戦い、目標に応じて(攻撃は)強化されるだろう」と強調した。
過度な民間人被害に対する国際社会の批判にもかかわらず、イスラエル軍は同日、2日連続でジャバリア難民キャンプ付近をはじめ、ガザ地区全域で空爆を続けた。ロイター通信によると、ハマスが支配するガザ地区保健省は、ジャバリアで少なくとも195人の民間人が死亡したと主張した。また、同日までにガザ地区の死亡者は8796人、このうち子どもは3648人と明らかにした。
フランス政府は同日、「難民キャンプの攻撃に深刻な懸念を表明する」と攻撃の中止を求め、グテーレス国連事務総長は2日連続の難民キャンプへの爆撃に「驚愕した」と述べた。
●バイデン氏「戦闘の一時停止が必要」
前日、停戦ではないが、人道的支援のための一時的な戦闘停止を検討すべき時だと明らかにした米政府は、さらに一歩踏み込んだ。同日、米ミネソタ州を訪れたバイデン氏は、あるユダヤ系市民が「ラビとして、今すぐ停戦を呼びかけてほしい」と言うと、「戦闘の一時停止が必要だ」と述べ、「人質の救出に必要な時間ということだ」と述べた。この市民が警備員に引きずり出されながら「直ちに停戦しろ」と叫ぶと、バイデン氏は「イスラエル人にとっても、イスラム世界にとっても非常に複雑な問題だ。私は『2国家解決』を支持している」と述べた。
「ハマスの壊滅」というイスラエルの第2段階の目標達成にはかなりの時間が必要とみられるが、米国とイスラエル当局は「ポストハマス」を構想しているという。イスラエルのネタニヤフ首相が言及した第3段階は、ガザ地区の新しい統治・安全体制の確立を意味する。
最近イスラエルを訪問したクリス・バン・ホーレン、リチャード・ブルーメンソール米上院議員は、米政治専門サイト「ポリティコ」に、サウジアラビア軍を中心とした国際平和維持軍をガザ地区に駐留させる案をめぐる対話が進行中だと明らかにした。2006年のガザ地区総選挙に敗れた後、ハマスとの内戦で追い出されたパレスチナ自治政府(PA)がガザ地区を再び支配するまで平和維持軍が支援するというものだ。ただし、平和維持軍に米軍は含まれず、イスラエルのガザ地区への直接支配も排除されたという。
ブリンケン米国務長官は3日、イスラエルとヨルダン、トルコを訪れ、民間人被害の最小化案とパレスチナ独立国家の設立を意味する「2国家解決」を議論する計画だ。
カイロ=キム・ギユン特派員 ワシントン=ムン・ビョンギ特派員 pep@donga.com